「人生のターニングポイント」~豊口愛里彩さんの挑戦~

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Ep.02 「人生のターニングポイント

◆中学卒業直前のケガ〜高校卒業

十分な筋力や基礎力がないまま踊っていた私は、ついに身体が悲鳴を上げ、レッスン中に左膝の膝蓋骨を完全に脱臼してしまいました。床に崩れ落ち、立つこともできず、膝が外れたまま救急車で病院へ運ばれました。

数時間もそのまま待たされ、ようやく現れたのは見習いの医師。1回では整復できず、、、あの時の激痛は間違いなく人生で一番のものでした。今でもその痛みはトラウマとして残っていて、忘れたくても忘れられません。
無影灯をぼんやり眺めながら「もうここでバレエをやめるんだ」と、心にぽっかりと穴が空いたような気持ちでいました。

車椅子で中学校に行き、同級生たちが出迎えてくれて一緒に泣いたあの日のこと、一生忘れません。担任の先生が集めてくれた皆からの応援の手紙も、私の一生の宝物です。ドイツにも持って行き、辛い時には読み返して自分を奮い立たせていました。
今回のクラウドファンディングでも、当時の同級生や先生方から多くのご支援をいただき、本当に感謝してもしきれません。
なんとか中学校の卒業式に出席でき、その後高校入学後には左膝の靭帯再建手術を受けました。同じ時期に、10年間通い続けたバレエスクールから現在の所属先に移るという大きな変化もありました。

この出来事をきっかけに、私のバレエ人生は大きく変わったと思います。そのことについてはまた次回お話しさせていただけたらと思います。
このケガが私にとっての「人生のターニングポイント」となり、本気でバレエに挑もうと心に決めました。それまでも真剣に取り組んでいたつもりでしたが、「覚悟」が足りていなかったと今は思います。

手術後からのバレエ復帰は、とても長く険しい道のりでした。もともと筋力が少なく、間違った筋肉の使い方をしていた私は、一から基礎を見直しながらレッスンをしていました。舞台でトゥシューズを履いて踊れるようになるまでには約1年半かかりました。
でも、その間に自分の身体と深く向き合い、どの筋肉をどの動きで使うかなどを考えながら踊る力が身につき、踊りの質も変わっていきました。

実は、術後の痛みが完全になくなるまでには5年もかかりました。高校時代は毎日その痛みと闘いながらも、「もっと踊れるようになりたい」という気持ちで放課後や休み時間に教室で踊り続けていたのを覚えています。
少しずつできる事が増えていくのが嬉しくて仕方ありませんでした。

本気でバレエに人生を捧げようと覚悟が決まった時期

この頃から他人と比べるのではなく、「自分」にフォーカスし、視点を変えて物事を捉えられるようになっていきました。

◆ドイツ留学

「人生が変わったドイツでの濃い2年間」

成人式の3日後、単身でドイツへ飛び立ちました。
このドイツ留学についてはまた別の回で詳しく綴りたいと思っていますが、私の人生において“宝物”となるような2年間でした。
言葉も文化も食べ物も、日本とはまったく違う国で生活しながら、想像もできなかったほど多くの経験をさせていただきました。

「世界って、こんなに広いんだ」
「こんなにも美しい場所が地球には存在するんだ」

そんな気づきをもたらしてくれ、世界が一段と広がりました。
もちろん、辛くて苦しいこともたくさんありました。でも、たった2年とは思えないほど濃く、心も身体もたくましく成長できたと感じています。

プロのダンサーと共にデミソリスト(準主役)として踊る機会もあり、自分の踊りに責任を持って舞台に立つという覚悟も、このとき学びました。

自分の踊りにフォーカスしつつ、「人の心を動かす」踊り方を意識するようになった時期

◆日本帰国後〜今現在

「プロとしての覚悟」

帰国後、再びヨーロッパに戻ることを目指して合同オーディションに挑戦し、奇跡的に9月からの契約をいただくことができました。
毎日バレエ漬けだったドイツ生活から一転、バイトとバレエの両立の日々は簡単ではなく、十分に練習できないことが悔しくて仕方ありませんでした。
でも、バレエとは異なる世界に触れることで、人生に「無意味なことなんてひとつもない」と強く感じました。

意識さえすれば、どんな経験もバレエとつながる。
たとえ遠回りだと感じる道でも、それはきっと、自分の目指す場所につながっていると信じられるようになりました。

ドイツ留学も、日本に戻ってからの経験も、私にとっては「挑戦」の連続です。
憧れだった日本の劇場で踊るという夢も、叶えることができました。

思うように時間が取れず、成長できていないと感じた時期もありましたが、プロの舞台に立ち、人との出会いを重ねるうちに、気づけば去年の自分よりずっと前に進んでいました。

そして今回のクラウドファンディングは、これまでの人生の中で一番大きな挑戦でした。
不安だらけのスタートでしたし、厳しいお言葉をいただく覚悟もしていました。
ところが、想像以上にたくさんの方々から応援や優しさをいただき、心が大きく動かされました。
皆さまの温かさが、私の中にこれまでにない強い意志を芽生えさせてくれました。

それは、「人生すべてをバレエに捧げる」という強い覚悟です。

この強い気持ちは、きっとこれからの私の踊りにも変化を与えてくれるはずだと、ワクワクしています。

豊口愛里彩


ここからはバレエジャポンから豊口さんへの質問コーナーです♪

中学卒業直前のケガ〜高校卒業の頃のお話で質問!

あのときの「痛み」は、身体の痛み以上に、どんな思い出として心に残っていますか?

もう二度と同じ経験はしたくない。その気持ちが強まり、自分の身体への理解を深めました。特に留学中は毎日バレエ漬けだったので、ボディメンテナンスを心がけていました。
それでも、最後のパフォーマンス中に反対の膝を痛めてしまい、、、。
トレーニングやストレッチ、マッサージなど自分に合ったやり方を研究しています。

痛みと向き合いながら踊っていた高校時代、「やめたい」と思ったことはありましたか?それを支えたものは?

やめたいと思ったことは一度もありませんでした。「いつか絶対に痛みなく踊れるようになる」と信じていました。

ドイツ留学のお話で質問!

ドイツに着いた最初の日、どんな景色や空気を感じましたか?

表記はほぼドイツ語、建物も全てが美しく、まるで中世ヨーロッパにタイムスリップしたかのような、、街全体がバレエの舞台セットのようでただ歩くだけで楽しかったです。

逆に「日本では当たり前だったけど、ここでは通じない」と思った文化の違いは?

日本にある”察する”という文化が向こうにはないことです。周りの目は気にせずみんな自由に生きているので、何か伝えたい事があっても自分からアピールしなければ気付いてもらえません。感情や言いたい事も全て遠慮なしにストレートに伝えてくれるので、私はその文化の方が好きだと感じました。

日本帰国後〜今現在について質問!

無意味なことなんてない」と思えた具体的な出来事は何でしたか?

同じ職場の方々の仕事への熱心な気持ちやお客様との接し方などを見て、仕事に対する向き合い方など様々なことを学ぶことができました。バレエでプロになる上でもこの経験は必ず役に立つと思います。

留学中と日本での生活で、「踊り」に対する意識はどう変わりましたか?

留学中は毎日踊っていたので時には辛いと思う日もありました。しかし、日本で思うようにバレエができない日々を過ごして、毎日バレエができていたのがどれだけ幸せなことだったのか実感しました。今は踊れることに感謝の気持ちを持って、時間を無駄にしないように日々過ごしています。

応援の声で「心が動いた」瞬間、どんな言葉が印象的でしたか?

金額ではなく”想い”が私の心を大きく動かしてくれました。
「感動した」「勇気をもらった」というメッセージをいただき”自分にそんな力があるの…?”と驚きました。
自分の踊りや挑戦が、少しでも誰かの心に届いているんだと思うと胸がいっぱいになりました。もっともっと頑張ろうと思います。

今回もたくさんの質問に一つ一つ丁寧に想いを言葉にしてくださり、ありがとうございました!

ただ痛みと向き合ってきたというだけでなく、その経験を通して「自分の身体と深く向き合う姿勢」や「信じる力」を育んできたこと、そして「やめたいと思ったことは一度もない」という一文に、簡単には真似できない強さと覚悟を感じます。

また、ドイツでの暮らしの描写からは、美しさと戸惑い、そして成長の軌跡が伝わってきました。文化の違いに驚きながらも、それを前向きに受け入れて、自分の表現に変えていく柔軟さと強さが素敵ですね。
そして、「金額ではなく“想い”が心を動かした」という言葉から、豊口さんの踊りや挑戦が誰かの心に届いている、その事実こそが、表現する意味の深さを教えてくれているように思います。

踊れる日常に感謝しながら、誠実に積み重ねている豊口さんはとてもまぶしく映りますね。
これからも、その情熱と優しさで、たくさんの人の心を動かしていってください。

また次回の記事も楽しみにしていますね♪
引き続き、豊口さんの日々を心から応援しています。

バレエジャポン

豊口愛里彩さんがチャレンジされておりますクラウドファンディングのページはこちら!
https://readyfor.jp/projects/ariari0817

今回、豊口さんが挑戦されているクラウドファンディングは、目標金額を達成した場合のみ、支援金を受け取ることのできるAll-or-Nothing方式となっております。
支援募集は7月21日(月)午後11:00までとなっておりますので、豊口さんのこれからの活躍を見てみたい方は、ぜひ応援のほど、よろしくお願い致します。

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