『踊るとは何かを考えてみる~『6steps』編~』杉本音音先生(バレエ安全指導者資格修了講師コラム)

  • URLをコピーしました!

踊るとは何かを考えてみる~『6steps』編~

6steps(シックスステップス)

6stepsは、「6段の階段」を使用した、目で見て触れて体験できるダンスプロジェクト。振付家・ダンサーである木村玲奈が発起人となり、ダンサー・WEBエンジニア・観察者・美術家・舞台制作者らと共に活動を行い、舞台芸術と社会を繋ぐプラットフォームとしての機能を模索している。

木村が振付・演出する公演、演出にアーティストを招き行う公演に加え、 2023年には、6steps(6段の階段)を様々な場・空間へ置き、訪れる人々と共に時間を過ごすプロジェクトを開始。多角的に場や時間、振付をひらきながら、さまざまな身体と共にダンスを探している。

私は、2022年の青梅での公演からこのプロジェクトに参加しています。
6stepsー6段の木製の階段が舞台美術として使用された初めての上演でした。

2024年には、2024年には、YAU (有楽町アートアーバニズム)が運営するオルタナティブスペースYAU CENTERにて、檜原村の林業会社「(株)東京チェンソーズ」とのコラボレーションでの展示・上演「「6steps|6段の階段 森の営みから生まれるダンス」が行われ、ダンスが他の分野や社会に開かれる可能性を感じました。

「6steps」には振付書が存在します。

″できる限りゆっくりのぼりおりする″や″両腕を広げる″など、主に基本的な動作が記されています。私たちダンサーは、その動作を即興的に組み合わせながら動いていきます。音楽は1曲だけ、わずかな時間で流れますが、そこにぴったりと当てはめることもなく時間は進んでいきます。他者とのぼっている時は、一緒に過ごしている感覚はあるものの、接触もわずかです。

基本的には、「階段と自分」に向き合う。

「6steps」は、6段の階段によって振付が視覚化されています。もう、目の前に、階段という振付があり、さらに振付書によって動きが誘導されています。

ということは、誰でも踊れるのか?その通り、誰でも踊れます。
もう振付がそこにあって、ほとんどの人が階段をのぼりおりした経験があるのだから。
しかし、難しくて手強いのが「6steps」です。意志と選択を問うてきます。

どう踊るのか?

この意志がないと、時間を構築することはできないのです。シンプルだからこそ、″踊るとは何か?″という問いと常に向き合いながらそれを実践していきます。

イメージを投影したり、間を考えたり、空間を俯瞰したり…

時に、キレイにバランスを取るなど、″見せる″ダンスを起こそうとすると、階段はスケベ!と言って、何らかの違和感を感じさせてきます。

ダンスは起こそうと思って起きるものではない。

けれど、そこに存在するという意志がなければ消えてしまう。階段をのぼりおりしている間、もしかしたらその後まで、ダンスはもう見つかっていて、続いているだけかもしれないし、まだ見つけている途中かもしれない…

ずっとダンスを探し続ける1人旅のような感覚です。

初演の青梅公演から現在まで、劇場、アートスペース、大学、公園、美術館など様々な場所に置かれ、上演の他、「置いてみる」のような多様な人々とのオープンな取り組みやワークショップなど様々な形で6段の階段とダンスが登場してきました。

いつも変わらない、目の前にある「振付」

摂食障害による入院を経たこともあり、初演から現在まで私の身体は確実に変わっています。もう踊れないかなと思っていた時も、「6steps」は変わらずに迎え入れてくれた感じがしました。同じ振付を踊り続けることができる、貴重な経験をしています。

同じ振付とはいえど、置く場所によって全く異なる空間や時間が構築されます。それを直に取り込むのが「6steps」

その都度異なる環境を捉え、身を置き、問いながら動いてみる。
そうすることで、段同士の「間」や自分の身体、周りの音や景色が繊細に感じられて、様々な動きが生まれていく。
自分の中に向けた顕微鏡のズームと、外に向けた超広角レンズの俯瞰を繰り返すゆらぎのようなものがあります。
二度と同じ時間はやってきません。
だからこそ、「その時、その身体でしか起きないこと」で生まれるダンスがあります。
これは上演だけでなく、《置いてみる》や、眺めている時、誰がのぼりおりする時でも同じです。

振付書にある日常的な動作は、一見、これはダンスなの?今はダンスしているの?と言われるかもしれません。
しかし、私はダンスを「探し続ける」こと自体に踊りがあるのではないかと信じています。

上演はフィクショナルな世界だけど、そこに立つ身体は日常の蓄積。日常にも踊りがあって、繋がっているのだと考えています。

バレエには型があり、コンクールではやらなければならない。けれど、″どう踊るか″は、自由だと思います。
むしろ、そこにあるのがその人自身の踊りなのではないかと思います。

「踊る」とは何なのでしょうか?
「6steps」はこれを考えるチャンスをくれました。
これからも、いくら考えても答えに辿り着かない、曖昧で明確な生態に向かって、ずっと動いていくのだと思います。

今度は一緒に「6steps」をのぼりおりしたり、眺めたり、「踊る」ことを期待しています…!

杉本音音

6steps webサイト:https://6steps.net/

杉本音音先生プロフィール

1996年生まれ。東京都世田谷区出身。4歳より新体操とクラシックバレエ、15歳でコンテンポラリーダンスに出会う。立教大学現代心理学部映像身体学科卒業。新体操指導歴6年。

様々な振付家の作品に出演。ワークショップも行う。階段を振付として使用したダンス作品「6steps」プロジェクトメンバー。(コンセプト・発起人:木村玲奈)

その他、音楽・写真・テキスタイル・美術・映像など他分野とコラボレーションでの企画、振付、パフォーマンスを行う。身体を以って紡ぐ・思考することを目指して日々″今日のダンス″を探している。

【杉本音音先生オフィシャルサイト】
https://neonsugimoto.jimdofree.com/

杉本先生へのご質問、ご感想等はこちらよりどうぞ!
contact@ballet-japon.com

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次