『神経性やせ症について~からだは限界だった!編~』杉本音音先生(バレエ安全指導者資格修了講師コラム)

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神経性やせ症について~からだは限界だった!編~

コロナ禍でどんどん痩せていった″神経性やせ症仕様のからだ″。徐々にコロナ禍が収まり、外で踊る機会が増えました。
当然、私は以前のように動けなくなっていて、おかしいな?悔しい。ばかりでした。
初めて⼼療内科に⾏った時「運動は控えてください」と⾔われて、悔しくて、動きながらいっぱい⾷べれば⼤丈夫!⾃⼒で治せるだろうと思っていたし、主治医の先⽣もそれを信じていました。
カロリー借⾦が沢⼭。本当は今まで以上に⾷べなければいけないのに、それができず、また踊れない悔しさと焦りから私は動き続けました。
どうせ変わらないだろうと思って通院も2回でやめました。
異常なしもやけ、失禁、創造⼒や記憶⼒の低下、ジャンプが跳べない…今だからエネルギー不⾜だったとわかりますが、当時はそんなこと疑わずに、「⾃分の体の使い⽅がいけないんだ、練習が⾜りないんだ」と休むことをせず、だんだんと「⾷べたらいけない、踊れない」と思うようにもなっていました。
昔はカレー屋さんに⾏ったらナンは必ず2枚おかわりしてたくらい⾷べることが好きだったはずなのに… そんな⾵に過ごしていたら⾝体も吸収しない・⾷べられない⾝体に変化してしまいます。
胃の機能は低下し、肝臓は栄養を吸収しなくなり、脳にも栄養はいかず。あらゆるところが痩せて、とうとう簡単なジャンプも跳べなくなり、階段ののぼりおりができなくなり、⽇常⽣活が苦しくなっていきました。
⾻盤を⽴てて引き上げれば、楽に⽣きれると思ってレッスンに⾏ったりもしました。
踊るためにレッスンに⾏っていたはずなのに、⽴つために、その⽇⽣きるためにレッスンに⾏くようになっていました。
ものすごくネガティブだったし、急に不安もイライラもやってきて⼈格が変わるみたいなことが沢⼭起きていて、何も信じられなくて、ちゃんと1⽇過ごせるか不安な毎⽇でした。

そして、突然重くて歩けない、歩き⽅がわからない状態になりました。
体温は33℃、体重は40kg以下。
さすがにこれでは踊れないと思い、再び病院に⾏った2023年5⽉、通常なら60くらいの⼼拍数は37。ICCUに緊急⼊院となりました。
それでも、状況を理解できず⾃分が「神経性やせ症」であることを認められませんでした。
惨めで情けないな…と思いながら病室で過ごすと、なぜか20時で時計が⽌まって、「休んでいいよ」というメッセージであるように感じて、時の流れが変わった瞬間を体感しました。
ここから、⾝体を修復するために、⾷べる!待つ!とにかくカロリーを貯める!⾝体と真に向き合う⼊院⽣活が始まりました。

⼊院前、周りからは「話聞くよ」「⼀緒に病院⾏こうか?」「休んでいいよ」などのお声かけをいただいたり、⼦どもたちからは細っっとドン引きされたり、家族の気遣いなど沢⼭の気づくべきポイントや⼼遣いがありました。
それにも関わらず、完全にクローズモード。
後から知ったことですが、この異常なこだわりは「神経性やせ症」の病気の仕業でもあるそうです。
そうなる前に防ぎたい。そのためには「1⼈にならない」ことが⼤切だと思っています。
周りに頼ったり、いつもと違う外を⾒てみたり。
少しでも⾃分をポジティブな⽅向に持っていけたら。摂⾷障害での苦しむ⼈が減るように、私も何か⾏動できたらと思っています。

杉本音音

杉本音音先生プロフィール

1996年生まれ。東京都世田谷区出身。4歳より新体操とクラシックバレエ、15歳でコンテンポラリーダンスに出会う。立教大学現代心理学部映像身体学科卒業。新体操指導歴6年。

様々な振付家の作品に出演。ワークショップも行う。階段を振付として使用したダンス作品「6steps」プロジェクトメンバー。(コンセプト・発起人:木村玲奈)

その他、音楽・写真・テキスタイル・美術・映像など他分野とコラボレーションでの企画、振付、パフォーマンスを行う。身体を以って紡ぐ・思考することを目指して日々″今日のダンス″を探している。

【杉本音音先生オフィシャルサイト】
https://neonsugimoto.jimdofree.com/

杉本先生へのご質問、ご感想等はこちらよりどうぞ!
contact@ballet-japon.com

『踊れるからだをつくろう!』〜バレエと食・身体を考えるフォーラム〜
杉本先生が直接お話してくださるイベントが8月13日に開催されます。
アーカイブでの配信もございますので、ぜひお気軽にご参加ください♪
詳細は下記アドレスよりご覧ください。
https://safedance.jp/ws/forum_2025_78/

摂食障害についてもっと知りたい、ご自身をチェックしたい方はSDAメディカルチーム作成の下記ページをぜひご覧ください。

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