バレエジャポン®︎よりメッセージ
このたび、バレエジャポンにて、バレエ安全指導者資格®︎コースを修了された先生方によるコラムシリーズを掲載することとなりました。
本資格を受講される先生方は皆、生徒一人ひとりの健康と安全を守り、バレエがその人にとって「良いものであること」を心から願って学んでくださっています。
そんな先生方のバレエへの思いや、生徒さんへの温かなまなざし、そして日々の生活やご家族との関わりの中で感じられていることを、皆さまと分かち合いたい、そんな想いから、今回のコラムシリーズを企画いたしました。
記念すべきコラムお一人目の先生は、先日プロフェッショナル講座を修了され、「バレエ安全指導者資格®」の認定講師となられた進藤香織先生です!
進藤先生は、桜井勢以子バレエ研究所にて「バレトンクラス」や「親子バレエクラス」の講師を担当されています。
資格を受講中は、毎回の課題提出を通じて、バレエの学びが子育てにも役立ったというお声もいただきました。
バレエの先生方の中には、子育てと両立しながら、また結婚・出産などさまざまなライフステージの中でもバレエとともに歩まれている方が多くいらっしゃいます。
進藤先生のコラムを通じて、同じような経験をお持ちの方も、これからその道を歩まれる方も、新たな気づきや共感を得られるような、あたたかな時間を過ごしていただけましたら幸いです。
進藤先生、どうぞよろしくお願いいたします。
母になって見えた、私らしい働き方
はじめまして。
世田谷区にある桜井勢以子バレエ研究所にて、バレトン、親子バレエのクラスを担当させていただいていただいております進藤香織と申します。
今回、バレエジャポンにてコラムを担当させていただくこととなりました。コラムのお話をいただいたとき、正直なところ「私に何が書けるだろう」と少し戸惑いがありました。けれど振り返ってみると、忘れていた出来事や通り過ぎたと思っていた経験の中に、今の自分にしっかりとつながっている“点”を見つけることができました。「ああ、私なりにいい経験を積み重ねてきたんだな」と、小さな自信が湧いてきました。これからバレエの進路や、結婚・出産・育児といったライフステージの変化に直面する中で、悩んだり、不安を感じたりする方に、少しでもヒントや支えとなるような内容をお届けできたらと願っています。
私のコラムのテーマは『一歩踏み出す力』
初回となる今回は、まずは簡単に自己紹介をさせていただきます。
【母になって見えた、私らしい働き方】
12歳と10歳の男の子を育てる母として、慌ただしくも賑やかで楽しい日々を過ごしています。
大学卒業後、長男出産まではリラクゼーション業界大手の店舗に勤務し、骨や筋肉に関する知識を学びながら、アロマボディケアセラピストとしてボディメンテナンスの仕事に携わっていました。出産後も復職を考えていましたが、当時はまだ産休制度が整っておらず、退職を選ぶことに。仕事を離れることへの葛藤もありましたが、今振り返るとそれも一つの転機だったように思います。
現在は、子ども時代から通っていたバレエスタジオで「バレトン」というバレエを取り入れたエクササイズのインストラクターとして活動中。親子バレエクラスも担当しており、母としての経験も活かしながら、楽しく身体を動かす時間を大切にしています。また、スタジオ講師とは別に、バレトン事務局での運営にも関わり、デスクワークと現場での指導の両立をしています。今は小学生の子どもたちと過ごす時間を大切にしながら、自分が安心できるペースで仕事に向き合っています。
次回は、幼い頃に出会ったバレエとの関係がどのように、今の私につながっているのかを綴ってみたいと思います。
進藤香織
バレエジャポン編集部からの質問
出産後に仕事を離れることへの葛藤と、それを転機と感じられるようになったのは、どのような経験や心の変化があったからでしょうか?
セラピストの仕事にやりがいを感じており、店長としての責任もあって出産ギリギリまで働いていました。それだけに、仕事を離れることには大きな葛藤がありました。けれど出産後は、右も左もわからない赤ちゃんとの生活が始まり、毎日が必死。気がつけば、仕事のことを考える余裕は1ミリもなくなっていました。
それでも子どもの成長とともに、少しずつ心にゆとりが生まれてきて、コロナ禍突入が大きな転機となりました。外出もままならない日々の中で、自分自身と向き合う時間が増え、ようやく「今の自分はどうありたいのか」と考える余裕が生まれたのです。あの時期があったからこそ、仕事を離れた経験も意味のあるものに変わっていったのだと思います。
小学生のお子さんを育てながら仕事を続ける上で、大切にしていることは何ですか?
子どもときちんと向き合う時間を確保することです。短い時間でも、しっかり目を見て話したり、一緒に何かをして笑い合ったりすることで、自然とその日の出来事を子どもから話してくれるようになります。無理に聞き出すのではなく、自分から話したくなるような安心できる関係を続けていきたいと思っています。
親子バレエクラスでは、母としての経験がどのように活かされていますか?
親子バレエクラスでは、母としての経験がそのまま指導に活かされています。参加してくれる子どもたちは2〜3歳が多く、できないことがあったり、やりたくないことがあったり、思い通りにいかずに泣いてしまうこともあります。でもそれはすべて“当然のこと”だと、今は心から思えるんです。自分の息子の子育て中は、周囲の子どもと比べてしまったり、自分の思いばかりを優先して、子どもの気持ちをうまく汲み取れなかったこともありました。その反省と経験があるからこそ、今は一人ひとりの気持ちに寄り添い、余裕を持って関われていると感じています。子育ての経験は、私にとって大きな財産です。
同じように子育てと仕事のバランスに悩んでいる方に、どんなメッセージを届けたいですか?
焦る必要はないということをまず伝えたいです。子どもの成長は本当にあっという間で、今その時間を大切にしないと後から取り戻すことはできません。とはいえ、ずっと子育てだけに専念する必要もなくて、子どもが少しずつ手を離れていくタイミングは必ずやってきます。そのときには、「やってみたいこと」や「もう一度向き合いたいこと」が自然と湧き出てくるはずです。だからこそ、自分の気持ちを大切にして、「今、何を一番優先したいか」を自分で決めることが大切だと思います。それが仕事であっても、家庭であっても、自分で選んだ道ならきっと納得して進んでいけるはずです。最近、息子に足のサイズを越されてその成長の早さに驚かされました。育児に悩んでいた私ですが、今では息子の成長が私の原動力となり、大きな誇りにもなっています。
編集部より
育児と仕事の狭間で揺れる思いは、きっと多くの方が共感されるのではないでしょうか。すべてを完璧にこなすことはできなくても、「今、自分が何を大切にしたいか」を見つめ直すことで、人生は少しずつ動き出す。そんな温かく力強いメッセージが、言葉の端々から伝わってきます。
子どもと向き合う時間も、自分自身と向き合う時間も、どちらも大切にしながら歩んできた道のりが、進藤さんの柔らかさと深みにつながっているのだと感じます。同じように悩みながら進むすべての方へ、希望の灯りとなる言葉をありがとうございました。
進藤香織先生プロフィール

桜井勢以子バレエ研究所にて桜井勢以子、石田泰巳に師事。
大学卒業後、ボディケアセラピストとしてボディメンテナス技術を習得。
バレエを取り入れたエクササイズのバレトン®︎インストラクター資格取得。
JADP認定乳幼児リトミックインストラクター®︎資格取得。
現在、桜井勢以子バレエ研究所にてバレトンクラスと親子バレエクラスの講師
バレエ安全指導者資格®ベーシック講座、プロフェッショナル講座修了。
バレエ安全指導者資格®︎認定講師。
【桜井勢以子バレエ研究所】
https://sakurai-ballet.com
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