バレエのレッスン中、「もっと軸に乗って」と言われたことはありませんか?
回転のとき、ポーズのとき、あるいはシンプルな立ち姿の中でも──「軸に乗る」という表現はよく使われます。
でも実際には、「何をどうすれば軸に乗れるのか?」という問いに、はっきりと答えられる人は多くありません。
今回のテーマは、その「軸に乗る」ということの本当の意味について。
とくに“頭の位置”と“重心の意識”に注目して解説していきます。
まず、バレエでいう「軸」とは、動きの中で身体のバランスを保つ支点のこと。
軸足とは、動作していないほうの足──つまり、支える足のことを指しますが、実際には軸足も微細な動きを続けています。
「軸に乗る」とは、単に片足に体重をかけることではありません。
それは、身体の重さ、エネルギー、意識のすべてがその足に“統合される”ことを意味します。
ここで見落とされがちなのが、「頭の位置」です。
重心を移動したつもりでも、一番重いパーツである“頭”が軸に乗っていないことが非常に多いのです。
私たちは視界に入らないもの、普段意識しない部位ほど、無意識のうちに置き去りにしやすいもの。
頭が軸足側に乗っていなければ、どんなに体幹が安定していても、バランスは崩れやすくなります。
特に、回転(ピルエットなど)でふらついてしまう原因の一つに、「頭が軸に乗っていない」「頭の移動のタイミングがずれている」ことがあります。
この「タイミング」については、次回に詳しくお話ししますが、
まずは、頭も“自分の重心の一部”であるという意識を持つことがとても大切です。
また、頭の位置が後ろにズレると、それを支えるために首の前側(胸鎖乳突筋など)が過剰に緊張し、結果として全身の動きに不自然な力みが生まれてしまいます。
バレエは“正しさ”を求めるあまり、どこか力んでしまうことも多いものですが、本来はもっと心地よく、自然な感覚を大切にしてよいものです。
がんばるよりも、“気持ちよく立てる場所”を探すこと。
そこに、軸に乗るためのヒントが隠れています。
自分の頭が今どこにあるのか──
ちょっとだけ意識を向けてみてください。
それだけで、軸足が静かに地面とつながり、身体全体がすっとひとつにまとまる感覚が生まれるかもしれません。
前回のアームスの基本も元にして、さらに深い表現へのステップを行っていきましょう!
バレエジャポン編集部
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