アームスは“飾り”ではない──クラシックバレエにおける腕の本質 | バレエジャポン編集部のちょこっとアドバイス

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クラシックバレエにおいて、腕(アームス)の使い方は、美しさを生む装飾のように見えるかもしれません。
けれど、実際にはアームスは動きを導き、身体全体のバランスを支えるために不可欠な要素です。

今回は、バレエのアームスについて、「単なる形」ではなく「機能と意義」の視点から掘り下げてみたいと思います。

まず知っておきたいのは、正しいアームスの運び方が、足の動きや全体の安定に大きく影響するということ。
バレエでは、動作の方向・流れ・エネルギーの向かう先がすべて腕の軌道に現れます。
それゆえ、アームスが適切に整っていれば、動きはより滑らかに、かつ力強く行えるのです。

クラシックバレエには、アームスの基本ポジションが決まっています。呼び名や細部は流派によって多少異なりますが、大まかには以下のように分類されます。

  • アン・バ(en bas):腕を下げた準備のポジション(プレパラシオン)
  • アン・ナヴァン(en avant):前方で丸く構えた1番ポジション
  • ア・ラ・セゴン(à la seconde):横に開いた2番ポジション
  • アン・オー(en haut):頭上で丸く保つ3番、または5番ポジション
  • それぞれに対応するアロンジェ(allongé):手先を伸ばすような表現的変化

これらのポジションはすべて、脊椎(背骨)との相対的位置関係によって成り立っています。
つまり、腕のポジションは「空間的にどこにあるか」ではなく、「身体の軸=脊椎に対してどこにあるか」が本質なのです。

たとえば、脊椎が側屈(横に曲がる)したり、回旋(ねじれる)するとき、アームスの位置も視覚的には変化します。
しかし、それは“見かけの変化”であって、常に脊椎(あるいはより具体的には肋骨)との関係性を保ち続けていることが重要です。

これを意識することは、アームスをただ形として模倣するのではなく、「身体全体の延長線として動かす」ための第一歩となります。
また、軸が崩れたり上半身が傾いている場合、アームスの位置だけを修正しても根本的な解決にはなりません。
だからこそ、アームスは常に“身体との関係性の中で”捉えるべきものなのです。

最初は難しく感じるかもしれませんが、まずは自分の脊椎や肋骨の感覚に意識を向けることから始めてみてください。
アームスが空間を切り裂くのではなく、内側から伸びるような感覚に変わっていくはずです。

そしてこの意識が定着した先に、表現としての洗練されたアームス──音楽と一体になった“踊る腕”が生まれます。

このアームスの基本をもとに、さらに深い表現へのステップを行っていきましょう!


バレエジャポン編集部

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