バレエを学ぶなかで、誰もが一度は向き合うテーマ──それが「軸」です。
片足で立つ、回る、移動する。すべての動きにおいて、“安定した軸”は、バレエの美しさと安全性を支える基盤です。
けれど、「軸を感じて」と言われたとき、どこを意識すればよいのか、どうすれば安定するのか──明確にイメージするのは簡単ではありません。
今回のテーマは、この「軸」を構成する“足裏からの土台”と“変わらないために変わる”身体の使い方についてです。
まず大前提として、「軸」とは身体の内側に一本筋が通っているような感覚だけを意味するのではありません。
むしろその感覚の“起点”は、地面と接している足裏にあります。
特に軸足となる側の足裏は、重心が移動する瞬間も、回転する時も、常に床を押し続けているという感覚を保つことが重要です。
つまり、変化が起こる中でも「土台」は変わらない──それがバレエにおける軸の大前提です。
ここで一つ、よくある誤解があります。
それは「軸を固める=身体を動かさない」というイメージです。
しかし、実際のバレエでは、動きの中でこそ軸を維持しなければならず、そのためには全身をしなやかに使い続ける必要があります。
たとえば、軸足の安定に加えて、骨盤と肋骨をスクエアに保つために、深層筋(コアマッスル)を細かく調整する。
また、上半身が揺れないように腕や頭の位置も微調整しながら動く──こうした“繊細な動き”を実現するには、むしろ多くの筋肉が協調して働くことが必要です。
ここで大切になる考え方が、「変わらないために、変わっていく」という身体の使い方です。
バレエの動きは、静止ではなく連続です。常に重心は微細に移動し、身体は変化し続けています。
その変化に柔軟に対応できる身体の使い方こそが、結果として「変わらないように見える軸」を支えているのです。
言い換えれば、安定とは“止まること”ではなく、“変化を受け止める力”なのです。
この考え方は、技術的な側面だけでなく、表現としてのバレエにも深く関わってきます。
揺れないように抑え込むのではなく、動きの中に流れを保ち、変化を許容しながら、それでもなお「戻る場所=軸」がある。
そのような身体の感覚を育てることが、バレエの安定感と自由な動きの両立へとつながっていくのです。
次回は、軸を支える裏側の力──ハムストリングスについて、より詳しく見ていきます。
バレエジャポン編集部
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