TOPページ > バレエと栄養 > スポーツや審美競技を頑張る女子に多い「運動性無月経」に注意!

体づくりの基本は、まずは栄養摂取から
バレエは、健康でなければ続けることは出来ません。
子どもから大人まで、いつまでもバレエを楽しみ、踊り続けるためにはレッスンだけではなく、日常生活におけるほんのちょっとの努力が大切です。
特に、食生活における『栄養摂取』は体をつくるうえで最も重要な要素。
体を酷使するバレリーナにとって切り離せない『栄養』を正しく理解し、美しく、しなやかで、力強いバレリーナを目指しましょう。
スポーツや審美競技を頑張る女子に多い「運動性無月経」に注意!

運動性無月経ってどんな病気?
成長期の女子に起こる体の大きな変化の一つとして「月経」があります。
月経は子どもを産む環境ができましたよ、という子どもから大人へと体が変化したしるしでもあります。そのため、普段はお腹が痛くなったり、胸が張ったり、気分が落ち込みやすくなったりと何かと面倒だと思われがちな月経も女性としてはとても大事なことなのです。
しかし、中には月経が止まってしまうということもしばしばあります。
通常、これまで定期的に来ていた月経が3ヵ月以上停まっている状態でなおかつその原因が運動である場合を「運動性無月経」と言います。
運動性無月経が起こる原因は大きく分けて4つあります。
1)無理なダイエットによる低栄養
スポーツとひと口に言っても多くの種目がありますが、中でも見た目の美しさが重要視されるフィギュアスケートやバレエ、新体操などの審美系のスポーツではダイエットを頑張る女子が多くみられます。
見た目の美しさを追求するのは大事なことですが、間違ったダイエットをしてしまうと身体の健康状態に悪影響を及ぼす場合があります。それが「低栄養」です。
早く体重を減らしたいあまり、「ノンカロリー」や「低カロリー」といったものばかり選んだり、1日1食など過度な食事制限をしたりすることでエネルギーのみならず栄養素全体が不足してしまいます。
栄養素が不足すると、身体は元気な子供を産むことが難しいと判断し、生命維持の方に重点を置きます。そのため、月経が止まってしまうことがあるのです。

2)体重や体脂肪の過度な減少
ダイエットを頑張って体重や体脂肪が減少しても、「健康的な身体」という観点からはあまり喜べないことがあります。
体脂肪は敵と思われがちですが、内臓を守ったり、ホルモンバランスを整えたりするためには多少必要なものです。
そのため、低栄養の時と同様、身体にとって少なすぎる体重や体脂肪は「生命の危機」とみなされ、月経を停める原因となってしまうのです。
3)ホルモンバランスの乱れ
女性らしい身体を作る鍵となるのが「ホルモン」です。
女性ホルモンには卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類があり、これらのバランスが整うことで毎月決まった周期で月経が来るのです。
しかし、低栄養、過度なダイエット、低体重等により、ホルモンバランスが乱れやすくなると決まった周期で月経が来るということが難しくなったり、無月経になったりするのです。
4)ストレス
スポーツを一生懸命に頑張り過ぎるあまり、精神的なストレスが大きくなったり、見た目のコントロールを頑張り過ぎて無理なダイエットをしたりすると体にとってもストレスがかかります。
こうして様々な角度からストレスがかかると、体のリズムが崩れやすくなり、無月経になることがあります。
運動性無月経が骨粗鬆症を引き起こす?!
運動性無月経と骨粗鬆症、一見何も関係がないようにも見えますが、実は密接にかかわっています。
毎月、月経がコンスタントに来るためには女性ホルモンが大きなカギを握っています。
女性ホルモンには卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類があるのですが、この2つがバランスよく存在することで月経が起こるのです。つまり、無月経になるということはこれらのホルモンバランスが乱れているということでもあります。
卵胞ホルモンの一つ、エストロゲンには骨の代謝に関わっています。そのため、運動性無月経によってホルモンバランスが崩れ、エストロゲンが低い状態が続くと骨代謝がスムーズにいかずに結果として骨量が低い状態、つまり「スカスカの骨」になりやすくなるのです。
運動性無月経を放置しておくと・・・?

運動性無月経の状態が続くということは、ホルモンバランスが整っていない状態が続くということです。つまり、骨代謝に関わるエストロゲンも十分に分泌されていない可能性が高いのです。
成長期は骨量を最も蓄えられる時期ですので、成長だけでなく、丈夫な体作りには欠かせない貴重な時期。
その時期に十分に骨量が蓄えられなかったら、体の成長の可能性を狭めてしまうとともに、疲労骨折などのケガをしやすくなったり、また治りにくくなったりということが考えられます。
せっかく頑張りたいという気持ちがあるのに、体が思うようについていかない・・・というのはとてももったいないことです。
これから先もずっと健康な体で頑張り続けるためには今のうちから正しい生活習慣を身につけましょう。
運動性無月経になってしまったら?治療方法は?

運動性無月経になる原因は上記の通りですが、身体的な原因と精神的な原因の2つに分けられます。
分かりやすい指標としては、体重や体脂肪の変化と現状を記録しておきましょう。
短期間で急激に体重、体脂肪が減少したということであればそれは体が生命の危機を感じているということ。つまり無理な食事制限等を一旦ストップし、きちんと栄養を摂ることが先決です。
次に精神的にプレッシャーやストレスを大きく感じている場合は周りの人に相談したり、リフレッシュをすることでストレスを発散・息抜きをしたりすることが大切です。
また、トレーニングの強度も無理をし過ぎていないか、今の自分に合っているかなど見直してみましょう。
それでも無月経が続くようであれば、一度婦人科を受診し、現状のホルモンバランスなどを診てもらいましょう。
運動性無月経にならない為に気を付けること、予防法は?

審美系のスポーツではやはり見た目を気にするあまり、無理なダイエットに走りやすい傾向にあります。
しかし、成長期という大事な時期に心と体に無理をさせてしまうと、これからの将来に大きく影響を与える可能性があります。
運動性無月経を予防するために出来ることはバランスの取れた食生活を心がけること、そして記録を付けることが大切です。
記録というのは体重や体脂肪の変化、食べたものやトレーニング内容なのです。記録を付けることで自分を客観的に見ることができますので、今、どんな状況なのかということが一目で分かります。
また、それを先生や保護者の方と共有してアドバイスをいただくことも大切です。
運動性無月経は、「運動を頑張っているから当たり前・しかたない」と片付けて良い問題ではありません。
将来、あの時きちんとしていれば・・・という思いをしないためにも、小さな体の変化を見逃さずにその都度対処することで心身ともに健康な体を、そして良いパフォーマンスができる体作りを目指しましょう!
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管理栄養士:磯村優貴恵 プロフィール
ダイエット専門の管理栄養士としてサロンにて食事指導を経験。 その後、およそ3年間、日本料理やイタリアン、カジュアルフレンチなど、様々なジャンルの調理に携わり独立。 現在は栄養指導と調理の経験を活かして子供から大人まで、その人に合った食事指導を行っている。
資格:管理栄養士、フードコーディネーター、薬膳インストラクター
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