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お悩み別コンテンツ「柔軟性を高めたい!」
レッスン前のストレッチでは柔らかくならない

柔軟性を高めるためにストレッチを取り入れている人は多いと思いますが、実はそのストレッチ「レッスン前」では意味がないことをご存知でしたか?
ここでは、解剖学の観点から柔軟性を高めるためのポイントをご紹介していきます。
是非、参考になさってくださいね。
はじめに-なぜダンサーに柔軟性が必要なのか?

バレエダンサーにとって、柔らかい体を保つことは必要不可欠です。バレエは表現芸術であり、体の可動域が広がることで体を大きく使うことができ、表現の幅が広がるからです。
特に脚のターンアウト(外旋)は重要で、人間の骨の構造上、ターンアウトしなければ体軸を保ったまま開脚をすることができないのです。より大きく、より高く、より美しく動くためには柔らかい体が必要になります。
さらに、怪我を予防する意味でも柔軟性が求められます。
時代と共により高度なテクニックや複雑な表現をするように発展してきたバレエは、クラシック・バレエだけでなくコンテンポラリーの動きや表現も必要になってきています。
トウ・シューズで立って踊ることもあれば、床を使って寝転がりながら表現したり、他のダンサーの体を使って動いたり、複雑なリフトがあったりして、極限まで体を使って動くことが今のダンサーには求められています。
それだけ高度な技術が求められるということは、怪我のリスクも高くなっていると言えます。
体を使う以上、常に怪我とは隣り合わせの運命にあるダンサーですから、柔軟性を高めて怪我をするリスクは最小限に抑えておきたいものです。
脚が高く上がる人と上がらない人の違い
ダンサーは体が柔らかくなければならない、ということはご理解いただけたと思いますが、「柔軟性」というのは実に複雑で難しいテーマです。
そもそも「体が柔らかい」とはどういうことなのでしょうか?
一般的に「柔軟性が高い」とか「体が柔らかい」というのは、「関節の可動域が広い」ということを意味します。
関節とは、骨と骨のつなぎの部分で、靱帯や腱、筋肉の働きによって一定の方向に曲げたり伸ばしたりすることができる部分です。バレエでは特に股関節の可動域が重要です。
では、なぜ体の柔らかい人と硬い人がいるのでしょうか?
それは、骨の形や数、靭帯や筋肉の大きさや質が違うからです。顔に目・鼻・口があることはみんな同じですが、その形や長さや場所が微妙に異なるので、顔の違いを認識することができます。
体も基本的に構造はみな同じですが、骨も靭帯も筋肉もそれぞれ少しずつ違うのです。
例えば、子どもの骨は270個くらいありますが、大人になると200個くらいに減ります。子どもの骨は柔らかいですが、成長とともに骨密度が増して硬くなりますし、さらに年を重ねてホルモンや栄養、運動量などが減ると骨粗鬆症になったりして骨がもろくなることもあります。
年齢や身長、体重などによって、骨の長さや太さ、骨と骨をつなぐ靱帯の長さや強さも違いますし、性別や人種などによっても骨格や筋肉に違いがあります。従って、柔軟性のもとになる関節の可動域は、骨・靭帯・腱・筋肉の違いによって異なるのです。
生活スタイルで変わる、関節の可動域
こうした先天的な体の特徴以外に、幼少期からの体の動かし方、普段の生活スタイルなども関節の可動域に大きく影響します。
体の動きに合わせて筋肉が発達し、骨や靭帯と連動しながら関節が動くので、よく使う部分は動きやすくなり、あまり使わないと動きにくくなります。
まだ筋肉や骨が発達する前の子どもの体は柔らかいので、ストレッチや柔軟体操を毎日していれば、成長後も柔らかい体を維持しやすいでしょう。
幼少期にいろいろな運動やスポーツをやると、いろいろな体の動かし方や関節の動きを経験し、可動域を広く使うことができるようになります。

ただし、子どもの運動については危険性もあります。例えば、小さい頃から利き腕ばかりを使うスポーツで練習しすぎると利き腕の骨が変形したり太くなったりして、左右のバランスが悪くなってしまうことがあります。
バレエでも、あまりに幼い頃からトウ・シューズを履いて練習すると、足の成長が止まったり、負荷がかかることで足が変形したりすることもあるので、気をつけなければなりません。
また、大人になってからでも運動やストレッチを日常的にやれば、関節の可動域を広げることができます。
関節の周りの筋肉を伸ばしたり縮めたりするトレーニングやストレッチを行うことで可動域が広がり、柔軟性が高まります。
逆に、椅子に座ったままじっとしていたり、寝たきりになったりして体を動かさなくなると、関節は動きにくくなり、体は硬くなります。
勘違いしがちなのが、「柔軟性が高い=脚が高く上がる」ではないということです。
床に座って180度に開脚ができるダンサーでも、トウ・シューズで立ちながら脚を180度に上げてキープすることができないこともあります。
つまり、関節の可動域を広げると同時に筋力を鍛えなければ、バレエの動きの中で使うことはできないのです。
柔軟性を高めようとストレッチすることばかりに注目しがちですが、しっかりと体を使うための強い筋肉を鍛えなければ、美しく踊ることはできませんし、ただ柔らかいだけの体では動きをコントロールできず、逆に怪我に繋がってしまうこともあるのです。
レッスン前のストレッチでは柔らかくならない

よくバレエ教室でレッスン前に床に座って開脚してじっとしている生徒さんの姿を見かけます。
バレエ業界で常識と思われてきたこの習慣は、実は柔軟性を高めることにはなりません。
逆に筋肉を収縮させてしまうことになり、レッスン中の怪我のリスクを高めてしまいます。
これは、スポーツ科学や医学における学術的な検証に基づいた結果ですので、床でじっとしたままやるストレッチ(静的ストレッチ・スタティックストレッチ)はレッスン前にやるのではなく、レッスン後にしっかりやるべきです。
関節を動かす筋肉は、伸縮性がとても高く、伸びると縮み、縮むと伸びる特性を持っています。
そのため、レッスン前に伸ばしてしまうと、レッスン中に縮もうとする力が働き、基礎レッスンの中で伸ばすべき筋肉が伸びなかったり、思い通りに働かなかったりして、不要な力を使うことになり、負荷がかかって怪我をしたり、他の筋肉で補おうとして足が太くなってしまったりすることがあります。
レッスン後のストレッチは、収縮した筋肉が伸びやすくなっていますので、柔軟性を高めやすい状態になっていますし、深呼吸をしながら行うことで心も体も緊張がほぐれ、疲労回復やリラックスの効果も得られます。
では、レッスン前は何をすれば良いのか。
レッスン前は体を温めるトレーニングを行うようにしましょう。
体が温まっていない状態では筋肉や腱、靭帯が伸びにくく、大きな動きをすると負荷がかかって怪我のリスクを高めます。
体を温めるとは、上着やウォーマーを着込むことでもストーブの前に座ってストレッチすることでもありません。
筋肉を使って動き、熱くなった血液を全身に循環させて軽く汗ばむ状態になることです。例えば、軽いジョギングやウォーキングで心拍数を上げるとか、膝上げ歩きやつま先立ち歩き、体幹の筋力トレーニングなどで筋肉を使って動くことです。

体が温まった状態でレッスンを行い、自分の体をコントロールできる強い筋肉を鍛え、レッスン後のクールダウンにしっかりストレッチをすることで、柔軟性を高めることができます。
まとめ
自分の体をつくるのは自分です。解剖学や運動学をほんの少し学び、体のつくりや仕組みを知った上で、自分の体や動きを考えることもダンサーにとって大事なことではないでしょうか。
バレエジャポンでは、レッスン前後に最適なトレーニング動画をご紹介しています。
是非こちらも参考になさってください。
★レッスン前におすすめのトレーニング
★レッスン後におすすめのストレッチ
このコンテンツの監修
バレエライフプロデューサー 新居彩子
小林紀子バレエアカデミーにて、ロイヤルアカデミーオブダンス上級資格(ARAD)修得。早稲田大学卒業後、小林紀子バレエシアターに入団。引退後、スペイン、ハンガリーなどで約3年間地域スポーツコミュニティを学び、帰国後に経営管理修士(MBA) 修得。バレエを活かした健康プログラムやトレーニングを研究し、2013年には品川区ウーマンビジネスグランプリで発表した「子どもの基礎運動能力を高めるバレエトレーニング」がグランプリ受賞。ジュニアアスリート向けに開発したシナジリティトレーニングの指導と、バレエ文化を取り入れたライフスタイルを提案する活動をしている。
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