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IwakiBalletCompany芸術監督井脇幸江さん
小学校1年生でトウシューズをはいてコンクールに

東京バレエ団退団後、ご自身のカンパニーを設立。精力的に公演活動を行う傍ら、後進の指導にもエネルギーを注ぐIwakiBalletCompany(以下IBC)芸術監督の井脇幸江さんにお話を伺いました。
今回は11月25日(日)に上演されるIBC公演「ジゼル」について、そして子どもたちへのメッセージを頂きました。インタビュアーは神戸里奈さん。トップダンサーのお二人によるインタビューは読み応えたっぷりです!
神戸> ジゼル役、そして相手役であるアルブレヒト役のキャスティングに関してはどのように決められたのですか?
井脇> キャスティングに関しては、当初は自分で踊ろうとは思いませんでしたが、周りのすすめもあって踊ることにしました。
その時に清水健太さんをご紹介いただき初めてお会いしました。
お会いしてみたら本当に王子様の出で立ちでドキドキしました(笑)
神戸> そうですよね(笑)
井脇> 事前に衣装を着てポスター撮影も行いましたが、カメラの前に立つとカチッとスイッチが入るでしょ、彼は。
神戸> はい、そうですね。
井脇> しかも『ジゼル』は大好きな作品なんですって。
神戸> あぁ、そう思います!
井脇> 彼には本当に助けられて、ほとんど苦労なく踊れました。
神戸> 本当にパートナーシップですよね。
井脇> ジゼルは初めて演じたんですけど、体力的に精神的にもあまりにも楽だったので、途中で「なんか曲飛ばしてないかな?」って不安になって、周りの人たちに「曲、飛ばしてないよね?」って聞いたくらいです。
でも「ちゃんと全部踊ってますよ(笑)」って言われて。
それくらい踊ることが自然でした。
でも反対に、ミルタを踊るのって凄く大変だったんだな、と気づきました。
神戸> そうだと思います。体力的にも、精神的にも…。
井脇> 体力や精神もそうだけど、トゥシューズ選びに関しても、パドブレで舞台を横断したり、グランジャンプ(大きなジャンプ)やピルエット(回転)もあるので先は硬いほうが良いけれど、音を消さなくてはならない。
技術的にもとても難しい踊りだと思います。
神戸> しかもあの暗い中で(笑)
井脇> そう、1幕とは全く違う場面なので、登場のシーンは特に緊張感がありました。
助演者としてそれだけ緊張感をもって踊ってきたので、主演するとなったときは凄く気合いを入れていたんです。
でもジゼル役を踊ったことのある仲間たちと話すと「主役はうまいこと休みが作られていて、ちゃんと踊れるように作品が創られているのよ」なんて言われました。
そこで初めてミルタって大変だったんだなって気付きましたね。
今、もしも「ミルタを踊って欲しい」と言われたら「ヤダ…」って言っちゃいます(笑)
神戸> ご自身で一から作られた『ジゼル』という公演を通して、様々な気付きがあったんですね。
作品のストーリーを大事にされて、自分の中でも組み立ててきた、嘘のないバレエへの探求がきっかけとなってバレエ団設立という形に運ばれていったということでしょうかね。
井脇> そうだと思います。
- 1:IwakiBalletCompany芸術監督井脇幸江さんインタビュー
- 2:ジゼル、そしてミルタという役について
- 3:芸術監督としての思い、そしてIwakiBalletCompanyの誕生