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映画『くるみ割り人形と秘密の王国』渡邊 峻郁さんインタビュー


新国立劇場バレエ団 ファースト・ソリスト。福島県出身。鈴木寿雄のもとバレエを始める。2006年モナコ・プリンセスグレース・アカデミーに留学し、マリカ・ベゾブラゾヴァらに師事。09年アカデミーを首席で卒業し、トゥールーズ・キャピトル・バレエに入団。11年よりソリストに昇格し、『ジゼル』アルブレヒト、『くるみ割り人形』王子、『ドン・キホーテ』バジル、バランシン、ロビンズ、キリアン、ドゥアト、サープなど数多くの振付家作品を踊るほか、C.ベラルビ振付の新作『美女と野獣』では主役に抜擢された。16年新国立劇場バレエ団にソリストとして入団。『シンデレラ』にて全幕主役デビューを果たす。その後『ジゼル』『くるみ割り人形』『白鳥の湖』『眠れる森の美女』の主役を踊っている。17年よりファースト・ソリストに昇格。

作品情報:映画「くるみ割人形と秘密の王国」 11月30日(金)公開
「美女と野獣」のディズニーが「くるみ割り人形」を映画化した、究極のプレミアム・ファンタジー開幕!愛する母を亡くし心を閉ざした少女クララは、“くるみ割り人形”によって“秘密の王国”にいざなわれる。それは、亡き母からのメッセージを見つけるための、驚くべき冒険の始まりだった…。
主人公クララには、今注目の美少女マッケンジー・フォイが抜擢され、脇を固めるのはキーラ・ナイトレイ、モーガン・フリーマン、ヘレン・ミレンら豪華キャストたち。チャイコフスキーの永遠の名曲が全編を彩り、バレエ界からはミスティ・コープランドとセルゲイ・ポルーニンが特別出演するほか、音楽界からも現代を代表する超一流アーティストたちが参加し、絢爛豪華な世界を作り上げている。
「新国立劇場バレエ団 渡邊 峻郁(わたなべ たかふみ)さん」スペシャルインタビュー
―― 映画『くるみ割り人形と秘密の王国』のご感想を聞かせください
バレエ演目の『くるみ割り人形』もそうですが、この映画『くるみ割り人形と秘密の王国』も、小さなお子様から大人の方まで、本当に幅広い年齢層の皆様が楽しめる映画だと思いました。
ジェニー・ビーヴァンさんデザインの衣裳も、一つ一つが本当に豪華で華やかで目を奪われました。
また映像ならではファンタジーの世界は、夢のように美しく、しかもリアルで心躍ります。
たとえば秘密の王国のひとつ、「雪の国」の住人の描かれ方は、ひげや髪がツララのようになっていて、ディテールが作りこまれています。こういった部分はファンタジーなのに、とてもリアルで印象に残りました。
また音楽もとても美しく感動的です。バレエと同じく音楽はピョートル・チャイコフスキーですが、その音楽をジェームズ・ニュートン・ハワードさんが現代風にアレンジされています。その他、新しい楽曲も使われていて音楽の部分でもとても楽しめます。ピアノ・ソロの部分はラン・ランさんが起用されていて、ファンとしてとても嬉しかったです。バレエダンサーのミスティ・コープランドさんの起用もそうですが、随所に一流のアーティストが登場していて、アーティスティックな面でもとてもゴージャスな布陣だと思います!
音楽の使用方法も抜群でした。たとえば不安感が描かれるシーンで、バレエでの「アラブの踊り」の音楽が使われています。物語の要所で音楽がとても効果的に使われていて、それがとても素敵でワクワクしました。
また、クララが冒険の末にあることを成し遂げたときに鳴った音楽が、バレエの第3幕のグラン・パ・ド・ドゥの音楽だったので「ここでこの音楽!」と心が上がりましたね!バレエ音楽としての『くるみ割り人形』と、そのバレエシーンを思い浮かべながら、映画での音楽を聞くと2倍で楽しめます!
―― 映画『くるみ割り人形と秘密の王国』と「バレエ演目」との違いをどう見ましたか?
バレエでは少女クララを導くのはドロッセルマイヤーですが、この映画では亡くなったクララのお母さんへの思いがクララを導いて行き、物語を推し進める原動力になっています。
また、バレエの演目では、幕開きはクリスマス・イヴのパーティで幸せな雰囲気一杯のスタートですが、この映画では母を亡くしたばかりの悲しみが癒えない家族の様子から物語は始まります。クララは悲しみから立ち直ることができず、体裁ばかりを気にする父にも不信感を持っています。バレエの幸福感いっぱいの始まりとは随分と違いますね。
映画ではこのクララの気持ちがどんどん変わっていく様子が描かれていて、とても見応えがあります。
また役柄的にもバレエとは正反対の描かれ方をしている役もあって、大変興味深かったです。
バレエ演目の『くるみ割り人形』をご覧になった事がある方でしたら、より楽しめるシーンや、バレエ『くるみ割り人形』へのオマージュのような部分もありますので、この作品の元になっているバレエもぜひご覧いただけたらと思います。
バレエをご存知だとよりお楽しみいただけるシーンとしては、たとえばミスティ・コープランドさんが踊っているシーンでの音楽は、バレエではネズミの王様とくるみ割り人形が戦うシーンで使用されている音楽だったりします。このことを知っていると、より作品を楽しむにあたっての深みがありますね。
―― 映画『くるみ割り人形と秘密の王国』の見て欲しい、見逃せないシーンはどこでしょうか?
ダンサーとしては、ミスティ・コープランドさんが踊っているシーンは、絶対見逃せません。
この部分は英国ロイヤル・バレエの気鋭の振付家、リアム・スカーレットさんが振り付けています。
彼は世界でもっとも才能あふれる大活躍中の若き振付家の一人ですが、このシーンは必見シーンですね。
セルゲイ・ポルーニンさんも踊っていて、本当にもっと長く見ていたい、と心から思いました。
バレエとは離れますが注意深く見ていると、映画の冒頭部分に後に展開する内容の伏線がさりげなくはられていたりします。たとえば、クララがドロッセルマイヤーに会って機械仕掛けのおもちゃを、見事に直す部分だったり・・。
バレエの演目と同じように、最初見た時には気が付かなかったことが、何回か繰り返して観ると発見できる楽しさもある作品かもしれませんね。
―― 映画『くるみ割り人形と秘密の王国』をこれからご覧になる方へのメッセージをお願いいたします。
バレエの『くるみ割り人形』はクリスマス・シーズンの風物詩になっていますが、この映画もクリスマス・シーズンにご家族でお楽しみいただける心温まる作品だと思います。クララとともに冒険の旅をするのは、素敵な体験です。
芸術的な面でも、本当に素晴らしい一流のアーティストたちが起用されています!
バレエ・ファンの皆様にも、是非お勧めしたい映画作品です!
映画『くるみ割り人形と秘密の王国』ディズニー公式サイト
Disney.jp/kurumiwari
■公開日:11月30日(金) 全国公開
■監督:ラッセ・ハルストレム/ジョー・ジョンストン
■出演:マッケンジー・フォイ/キーラ・ナイトレイ/ヘレン・ミレン/モーガン・フリーマン/ミスティ・コープランド/セルゲイ・ポルーニン
■原題:The nutcracker and the four realms
■配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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https://www.disney.co.jp/movie/kurumiwari/ticket
【渡邊 峻郁さんご出演「くるみ割り人形」公演情報】
新国立劇場バレエ団『くるみ割り人形』
→公演概要はこちら
■会場:新国立劇場(東京都渋谷区)
(京王新線(都営新宿線乗入)「初台駅」中央口(新国立劇場口)直結)
■日程:2018年12月19日(土)~12月27日(日)
■問合せ先:03-5352-9999(新国立劇場ボックスオフィス)