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映画『くるみ割り人形と秘密の王国』中村 祥子さんインタビュー


佐賀県生まれ。6歳よりバレエを始める。1996年、ローザンヌ国際バレエ・コンクールでスカラーシップ賞/テレビ視聴者賞を受賞。同年より98年までシュツットガルト・ジョン・クランコ・バレエスクールに留学し、98年、シュツットガルト・バレエ団に入団。2000年、ウィーン国立歌劇場バレエ団に入団。同年、ルクセンブルク国際バレエ・コンクールで第1位を受賞。03年、ヌレエフ版『白鳥の湖』で主役デビュー。06年にはライト版『眠れる森の美女』でオーロラ姫を踊る。同年8月、ベルリン国立バレエ団に移籍。07年、プリンシパルに昇格。13年11月、ハンガリー国立バレエ団にプリンシパルとして移籍。15年秋より日本に拠点を移して活動を開始。Kバレエ カンパニー プリンシパルとして『くるみ割り人形』『白鳥の湖』『眠れる森の美女』『シンデレラ』など多くの作品で主演を務めている。
16年、第66回芸術選奨 文部科学大臣賞(舞踊部門)、第47回舞踊批評家協会賞受賞。18年第39回橘秋子賞 優秀賞受賞。
特別インタビュアー :鎌田真梨(かまた まり)さん
宮城県出身。6歳よりバレエをはじめ、16歳でイギリスのランベール・スクールに留学。ケント大学よりBA大学卒業課程授与。2010年マシュー・ボーン主宰ニュー・アドベンチャーズに入団。2016年9月には凱旋公演を果たし渋谷・東急シアターオーブにて「眠れる森の美女」より主演・オーロラ姫を演じる。

作品情報:映画「くるみ割人形と秘密の王国」 11月30日(金)公開
「美女と野獣」のディズニーが「くるみ割り人形」を映画化した、究極のプレミアム・ファンタジー開幕!愛する母を亡くし心を閉ざした少女クララは、“くるみ割り人形”によって“秘密の王国”にいざなわれる。それは、亡き母からのメッセージを見つけるための、驚くべき冒険の始まりだった…。
主人公クララには、今注目の美少女マッケンジー・フォイが抜擢され、脇を固めるのはキーラ・ナイトレイ、モーガン・フリーマン、ヘレン・ミレンら豪華キャストたち。チャイコフスキーの永遠の名曲が全編を彩り、バレエ界からはミスティ・コープランドとセルゲイ・ポルーニンが特別出演するほか、音楽界からも現代を代表する超一流アーティストたちが参加し、絢爛豪華な世界を作り上げている。
「Kバレエカンパニー プリンシパル 中村 祥子(なかむら しょうこ)さん」スペシャルインタビュー
―― いよいよ11月30日(金)公開となりますディズニー最新作『くるみ割り人形と秘密の王国』作品。ご覧になられていかがでしたか?
「くるみ割り人形」と言えばバレエのイメージが強いと思いますがこれがディズニー映画になるんだ!と、ワクワクしながら拝見しました。
映画の序盤、雪景色の中で子供たちの声が聞こえてきて、バレエでもお馴染みの“序曲”が流れてくると、「いよいよ始まるんだ…」と、ドキドキしながらスーっと作品の中に入り込むことができました。
―― 「くるみ割り人形」の名曲がとても効果的でしたね。曲が流れる度に、ワクワクしてしまいました。
そう!重要なシーンで「くるみ割り人形」の名曲が流れると、音楽はとても大事な存在だと改めて思いました。バレエ作品においても同じことが言えますね。音楽のチカラは素晴らしいです。
―― バレエの「くるみ割り人形」作品と今回ご覧になった映画作品「くるみ割り人形と秘密の王国」を比べて、違いや特徴的だった点はありますか?
やはり映画作品なので、バレエ作品とは違う世界観が広がっていると感じました。
古典の「くるみ割り人形」のストーリーとも全く違っていて、ディズニーらしいファンタジーあふれる世界観の中にも可愛らしさ、面白さがあり、とても見ごたえがありました。
―― 確かに、とってもファンタジーで素敵な世界観でしたね。
雪の国やお菓子の国、そしてお花の国も出てきたりと、素敵なシーンがたくさんありました。今の時代の子供たちはいろいろなモノに満ちた生活を送っているけれど、こういった作品を観ることによって、自分にとって大切な「夢の世界」を、感じてくれるのではないかと思います。
そして作品の中にはバレエのシーンもあります。「こんな素敵な表現が身体でできるんだ」という気づきが、この映画を観た方の心に少しでも残ってくれたらいいですね。
心あたたまるストーリーと共に、子供たちの心にも響いてくれたら嬉しいです。
―― 映画ではくるみ割り人形とクララが、ずっと一緒だったのもよかったですね。
「くるみ割り人形」という作品がこのように表現されるんだ、とバレエとはまた違ったイメージを受け、その先のストーリーを想像してみたり色々な面で新たな発見がありました。
―― これから映画をご覧になる方に、見所やポイントなどありますか?
「くるみ割り人形」のストーリーは、実は知っているようで詳しくは知らない人も多いのではないでしょうか。作品の事はなんとなくイメージを持っていると思いますが、例えば私の息子に「くるみ割り人形」について聞いても、兵隊さんが出てくるのを知っているくらいで、物語自体は曖昧にしか記憶していないんです。
だからこそ、映画化されることで、この作品を知る良い機会になり、多くの子供たちが興味を持ってくれることを期待しています。そして、観た人の想像力を凄く掻き立ててくれる作品でもありますよね。
―― そうですね、きっと想像力が豊かになりますね。
こういう世界があるんだ、こういう世界にも行き着くんだっていう、ファンタジーな世界へのイマジネーションがきっと生まれてくるのではないでしょうか。そういう経験は、特に子供たちにとって大事なことだと思います。
バレエを踊るにあたっても、イマジネーションはとても重要。
WebやSNSの発達により今の時代はさまざまな情報がすぐに入ってくる環境にありますが、実際に劇場へ行って生のバレエを観たり、映像作品を見てそこから自分のイメージを膨らませられるような物語性のある作品は、観ることによって自分の成長にも繋がってくると思います。
―― イメージを持つことって大事ですよね。バレエの舞台でもイメージトレーニングは欠かせませんしね。
でも、簡単なことではないですよね。普段から何か別の世界をイメージして生活することというのはあまり無いかもしれませんが、この映画には様々な「色彩」が使われていて、イメージを膨らませるうえで「色合い」はひとつの手助けになるのではと感じました。
―― カラフルな世界でしたね!
映画に登場する4つの国によっても、さらに色合いが違いました。豊かな色彩というのは自分の生活だけでなく、色々な世界を自分で作り出していく際にも、とても大切だと思いますね。芸術には欠かせないものです。
―― そういった面からも、映画「くるみ割り人形」は見応えがありましたね。