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インタビュー

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チャイコフスキー記念 東京バレエ団 特別団員 小出領子さん

小出領子さん

――ここで改めて、東京バレエ団でのダンサー人生で、特に印象に残っている役や出来事を教えてください。

一番思い出深いのは、『ラ・バヤデール』ですね。ロシアからミストレスの先生がいらしていたんですが、すごく厳しい方だと聞いていたので、最初は「私には無理かも…」と思ったんです(笑)。でもここは彼女についていこうと心を決めて、どうせ叱られるなら、自分の思う通りのニキヤ像をぶつけてみよう、と。そうしたら、やみくもに厳しいのではなく、ダンサーのいいところを引き出すことがすごく上手な先生だったんですよ。何度も何度もリハーサルをさせてくださって、いつの間にか、音が鳴れば自然と体が動くようになっていました。新しい自分に出会ったような気がした経験でしたね。

自分でもよくやったなと思うのは(笑)、ルグリさんとマラーホフさんを相手に『ジゼル』を踊らせていただいた時。ルグリさんと一緒に練習する時間が全くとれなくて、2時間くらい話し合っただけで本番に臨んだんですよ。マラーホフさんとは練習できたんですが、お2人は振付が違うので、ルグリさんのほうを覚え直して、自分でポイントを整理して、あとはとにかくルグリさんを信じて舞台に上がりました。ルグリさんご自身パートナーを信じてくださる方で、舞台空間の上で一緒に生きていると感じさせてくれる素晴らしいダンサーなので、だから乗り切れたという感じですね。

――壮絶な経験ですね!それだけ考えることが多いなかで、役に入り込まないといけないわけですよね?

うーん、でも私、舞台の上でけっこう冷静なんですよね。狂乱の場でも、入り込むというより、段取りを考えながら演じていました。私が好き勝手やってしまうと、そこまでに作り上げてきた物語が崩れてしまう気がして。いつか私も役に入り込んだりするのかな、と思っていた時期もあったんですが、ほかの役でも常に冷静でしたね(笑)。いろいろな方がいらっしゃると思いますが、私にはある程度の緊張感と冷静さが必要という気がします。

小出領子さん
ジゼルを踊る小出領子さん

――小出さんの理知的な舞台姿の秘密が分かった気がします。最後に、退団された理由と、これからの展望を聞かせてください。

たくさんの作品を踊らせていただいて、数年前から、クラシックの主役は私じゃなく若い人に踊ってほしいと思うようになっていました。それと、子どもがもう1人ほしいと思ったことも大きいですね。2人育てていくとなるとやはり、実家の近くのほうが安心ですから。先日ダニール・シムキンさんと『くるみ割り人形』を踊った時、最初に主役を踊ったものをもう一度できたということもあって、いい機会なのかなと思いました。今後は、名古屋にスタジオを構えて、いままで培ってきたことを伝えていく側に回ります。

といっても、ダンサーを引退したわけではないので、教えをベースにしつつ、そちらに影響がない範囲で舞台にも立っていきたいですね。無欲なもので(笑)、この役が絶対に踊りたい!というのは相変わらずないのですが、年齢を重ねたからこそ表現できる、物語性の強い作品のお話があれば、ぜひ挑戦したいと思っています。

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