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ミラノ・スカラ座バレエ団「ラ・バヤデール」(全3幕)
古代インドを舞台にした愛憎劇が
壮大なスケールで描かれる
「ラ・バヤデール」

藤田一樹
(ダンサー)
ニキヤとソロルの熱い息吹
実際に劇場で鑑賞する機会も多い、煌びやかで異国情緒溢れる古典バレエの名作です。
本作はミラノ・スカラ座バレエ団による2006年に行われた公演を収録。神殿に仕える舞姫ニキヤにはスヴェトラーナ・ザハーロワ、その秘密の恋人である戦士ソロルにはロベルト・ボッレが名を連ねます。
高名なダンサー2人の共演は、このプロダクションの大きな見所。正確なバレエテクニックと抜群のパートナーシップ、そして場を掌握するような圧倒的な存在感に圧倒されます。
足先、手先、そして目線にすら漲った意思が見え、特にお互いの愛を確認する立ち振る舞いからは心の叫びが聞こえてくるよう。
ニキヤとソロルの熱い息吹が映像を通して確かに伝わってきます。決して予定調和に納まることのない、血の通った臨場感溢れる踊りに胸が高鳴りました。
また、このDVDが誇る最大の特徴は、鑑賞ナビ付きであること。
本編には登場人物やストーリー、そしてマイムの意味を字幕で解説する機能がついています。
過不足ない字幕は鑑賞の妨げになることなく、的確に鑑賞ポイントを教えてくれます。ブックレットも非常に充実しているので、本編と併せて作品理解の手助けになるでしょう。
また、今作に特化した解説だけではなく、バレエの様式美やテクニックについての言及が多いのも魅力的です。
もちろん予備知識の有無に関わらず楽しめますが、目の付け所が増えれば、その分だけ作品の持つ奥行きが感じられるのではないでしょうか。
特に「ラ・バヤデール」は、愛憎渦巻く人間関係が描かれたドラマティックな作品です。マイムの振りと意味を知っていれば、より深い部分で物語を味わうことができるでしょう。
これを足がかりにバレエの世界へまた一歩、足を進めてみてはいかがでしょうか。
作品情報
【作品タイトル】
ミラノ・スカラ座バレエ団
「ラ・バヤデール」(全3幕)
【作品概要】
古代インドを舞台にした、エキゾチックな魅力あふれる作品です。舞姫と兵士の秘密の恋を中心に、藩主の娘で誇り高い美女、舞姫に想いを寄せる大僧正などさまざまな登場人物が絡み、とてもドラマティック。複雑な人間関係やマイムの意味、バレエのテクニックなどもナビ字幕があればわかりやすく、作品を存分に楽しめます!
ザハーロワ&ボッレのベストカップル再び!
薄幸の舞姫ニキヤを踊るのは、S.ザハーロワ。当たり役のニキヤを、完璧なスタイル柔軟性で格調高く演じます。共演のボッレとは「白鳥」「ジゼル」に続き、ますます息の合ったパートナーシップを見せてくれます。
第3幕「影の王国」は古典バレエの象徴ともされる名場面。
一糸乱れぬダンサーたちの息の合った動き、古典バレエならではの静かで透明な美しさが味わえます。
【出演】
ニキヤ:スヴェトラーナ・ザハーロワ
ソロル:ロベルト・ボッレ
ガムザッティ:イザベル・ブリュッソン 他 ミラノ・スカラ座バレエ団
【スタッフ】
振付:ナタリア・マカロワ/マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
演奏:デビット・コールマン指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団
鑑賞ナビでさらに理解を深める!楽しめる!
【映像に合わせて字幕で解説】
バレエの見方を分かりやすくナビゲートします。
・登場人物
・ストーリー
・マイムの意味
・バレエのテクニック
*字幕はON/OFFできるので、慣れてきたら字幕なしで楽しめます。
【解説書付き】
お子さまでも楽しめる、写真を豊富に使った
やさしく読みやすいもので、内容も充実!
・登場人物紹介
・ストーリー
・見どころ
・バレエ用語解説
・ダンサープロフィール など
【DVD】
¥4,800(税抜)/126分
発売元:日本コロムビア
今回のレビュアー/藤田一樹プロフィール
1991年神奈川県生まれ。演劇を学んだ後、ジェローム・ベル構成演出「ザ・ショー・マスト・ゴー・オン」への出演を機にダンスに転向。クラシックバレエを中谷広貴に師事。市田京美、岡登志子にコンテンポラリーを学ぶ。
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