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ヌレエフ&フレンズ ~ルドルフ・ヌレエフ生誕75周年記念ガラ公演~
今、世界で活躍している
ダンサー達の夢の共演

仙頭由貴
(元ウィーン国立バレエ団)

20世紀を代表する偉大なダンサーであり、振付家でもあったルドルフ・ヌレエフの生誕75周年を讃え、現在世界各地で活躍するスター達によって開かれた華やかな記念ガラ公演。ヌレエフ作品だけでなく、プティパ・ブルノンヴィル・マクミラン・アシュトンらの偉大な振付家による作品も踊られていて、大変興味深い公演内容となっています。普段見る事の出来ない舞台裏の姿も見る事が出来るところも魅力の一つ。
今回ヌレエフ作品を披露しているのは、ヌレエフが長年芸術監督を務めていたパリ・オペラ座バレエのダンサーを主軸にしたメンバーで、ヌレエフ作品を大切に受け継いでいるのが感じられます。
私が長年在籍していたウィーン国立バレエ団もヌレエフとは深い縁がありました。彼はパリ・オペラ座バレエの芸術監督に就任するまでウィーンを活動拠点とし、オーストリア国籍も取得しています。
バレエマスターからヌレエフと一緒に踊っていた時の貴重なお話をよく聞いていました。2010年にマニュエル・ルグリが芸術監督に就任してからはヌレエフのレパートリーが増え、よりヌレエフを感じるバレエ団になったと思います。
ヌレエフの作品はダンサーにとってはとても大変で、公演後はいつも疲れ切ってしまいますが、やり甲斐のある作品が多かったと感じています。簡単には出来ない代わりに、ダンサーをより成長させてくれるのだと思います。これからもヌレエフと縁のあるバレエ団やダンサー、そして彼と携わった人々によって永遠に受け継がれて行く事を願います。
さて、公演内容に戻りたいと思います。今活躍中のダンサー達のガラ形式で観られる一つ一つの作品には、見所がたっぷりとあります。

特に印象に残ったのは、ベルリン国立バレエの2人による「ラ・シルフィード」。
シルフィードのイメージにぴったりな可憐なサレンコと、爽やかで美しいテクニックのヴァルターが印象的。
英国ロイヤル・バレエ団の2人による「マノン」は、2人の確かなテクニックと表現力に全幕で観てみたいと思いました。
ボリショイ・バレエの2人による「眠れる森の美女」もとても素敵。
オーロラ姫とデジレ王子のイメージ通りの2人、テクニックも安定し見応えたっぷり。
そしてオランダ国立バレエの2人による「two pieces for HET」。その名の通りオランダ国立バレエのために振付けられたハンス・ファン・マーネンによる貴重な作品。男女のドラマが感じられる興味深い作品です。

そして今回の公演のメインの1つでもあるパリ・オペラ座バレエの2人による「ライモンダ」。確かなテクニックとパリ・オペラ座らしい格調高い踊りが観られます。
そして今回特記したいのはパリ・オペラ座バレエのエイマンによるヌレエフ振付の「マンフレッド」。バイロンの詩をチャイコフスキーのドラマティックな音楽に合わせて、ヌレエフらしい難しいテクニックによって表現された作品であると同時にエイマンの怪我からの復帰作品でもあり、見事なテクニックによって表現された内に秘めた激情が胸を打つ素晴らしい作品です。
今世界で活躍しているダンサー達の夢の共演、現役ダンサーの方々にも是非見て頂きたい作品です。
作品情報
【作品タイトル】
ヌレエフ&フレンズ
~ルドルフ・ヌレエフ生誕75周年記念ガラ公演~
【作品概要】
バレエ界のスターたちが一堂に会した最新の舞台映像
20世紀を代表するダンサーであり、振付家であった“伝説の人”ルドルフ・ヌレエフ。2013年5月、彼の類稀なる才能に敬意を表し、その人生を祝福するべく、現在のバレエスターたちがパリに集結し華やかなガラ公演がおこなわれた。ヌレエフ、マクミラン、アシュトンら20世紀の巨匠たちによる珠玉の作品を、お膝元のパリ・オペラ座や、英国ロイヤル・バレエ団、ボリショイ・バレエ、ベルリン国立バレエ等、屈指のプリンシパルたちが次々に舞い観客を魅了。夢のような一夜を収録した新映像!
【収録】
2013年5月31日&6月1日パレ・デ・コングレ(パリ)
【収録プログラム】
「ラ・シルフィード」第2幕より(ブルノンヴィル振付)
ヤーナ・サレンコ、マリアン・ヴァルター(ベルリン国立バレエ)
「ラ・バヤデール」影の王国より(プティパ振付)
エフゲーニャ・オブラスツォーワ(ボリショイ・バレエ)、エフゲニー・イワンチェンコ(マリインスキー・バレエ)
「マノン」より寝室のパ・ド・ドゥ(マクミラン振付)
タマラ・ロホ(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)、フェデリコ・ボネッリ(英国ロイヤル・バレエ団)
「two pieces for HET(オランダ国立バレエ団)」(マーネン振付)
マイア・マッカテッリ、レミ・ヴォルトマイヤー(オランダ国立バレエ団)
「ライモンダ」第3幕より(ヌレエフ振付)
オーレリ・デュポン、マチアス・エイマン(パリ・オペラ座バレエ)
「眠れる森の美女」第3幕より(プティパ振付)
エフゲーニャ・オブラスツォーワ、ドミトリー・グダーノフ(ボリショイ・バレエ)
「マンフレッド」より(ヌレエフ振付)
マチアス・エイマン(パリ・オペラ座バレエ)
「マルグリットとアルマン」より(アシュトン振付)
タマラ・ロホ(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)、ルパート・ペネファーザー(英国ロイヤル・バレエ団)
「白鳥の湖」第2幕より(プティパ/イワーノフ振付)
ダリア・ヴァスネツォーワ、エフゲニー・イワンチェンコ(マリインスキー・バレエ)
「海賊」より(プティパ振付)
アレクサンドラ・ティモフェーワ(クレムリン・バレエ)、ワディム・ムンタギロフ(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)
※所属団は収録当時
2014年フランス作品 103分収録
片面2層,チャプター有,メニュー画面,日本語字幕付
カラー/16:9
音声 ステレオ/リニアPCM
発売元:日本コロムビア
今回のレビュアー/仙頭由貴プロフィール
1987年法村友井バレエ学校にて石川恵巳に師事。
石川恵巳主催のアートバレエ難波津に入学。
1999年ロシア国立ワガノワバレエアカデミーに留学、マリーナ・ワシリエワ師事。
その後アートバレエ難波津バレエ団、K-Ballet Company、ウィーン国立バレエ団に入団。
ウィーン国立バレエ団ではほとんど全ての公演に出演、ウィーンフィルハーモニー主催のニューイヤーコンサートや、オペラ座舞踏会、世界各地での海外ツアーに参加。
2013年長年在籍したウィーン国立バレエ団を退団、現在東京にて活動。
バレエ講師も務める。
2014年9月より新国立劇場バレエ団登録ダンサー
受賞歴
1996年こうべ全国洋舞コンクール ジュニアの部 第6位
2000年Osaka Prix クラシックバレエコンクール シニアの部 第1位
2001年こうべ全国洋舞コンクール シニアの部 第4位
2001年アジア・パシフィック国際バレエコンクール シニアの部 第3位、日本バレエ協会賞、IBM賞受賞
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