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バレエをつくる人たち

新国立劇場バレエ団研修所 栄養学講師 村田裕子さん

新国立劇場バレエ団研修所で栄養学の教鞭を取る、管理栄養士の村田裕子先生。未来のダンサー達を数多く指導する先生に、ダンサーの卵たちや大人の女性たちにも役立つ、食生活の傾向や課題をたっぷりとお伺いしました。

村田裕子さん
「一人ひとりに合わせた栄養摂取の在り方を考えることが大切なんです」

──ちゃんと選択肢を与えてあげるっていうことが大事なんですね。
先生がご自身でレッスンに臨む際に、栄養補給で心がけていることはありますか?

やはり年齢とともに筋肉が衰えていくので、いまはとにかく筋肉を付けることに気をつけています。筋肉を強くすることで骨も強くなりますし、筋量を高めることで代謝が良くなります。そのためのタンパク質の質や種類を考えて、肉と魚は1日おき交互に食べます。日本人の食生活って本当に糖質が多いんです。たとえばお昼におそば屋さんに行っておそばと天丼とか、ラーベン屋さんでラーメン、餃子に半チャーハンとか。私もお昼はそうなりがちなんですけれど、朝と夜は糖質は少なめ。

タンパク質はしっかり、そのタンパク質の倍量の野菜を食べるように調整します。理想的には、私は1日500gの野菜を摂りたいと思っているんです。グラムで言われてもなかなか伝わりにくいんですが、握りこぶし1個が80gなので、500gだと握りこぶし約6個分が目安になります。夜、調整しようとすると無理がある。だから、朝、握りこぶし3つ分の野菜をフレッシュジュースにしてとるのが日課です。

──筋肉のためにタンパク質はとても重要なんですね。

特にバレエをやっていらっしゃる方であれば、筋肉を作るために一番大切なのが、タンパク質だと思います。やっぱり骨と筋肉に気をつけておかないと、ジャンプしたり着地したりしたときに支えきれない身体になってしまう。

──骨密度といえばやはりカルシウムでしょうか。

ダンサーもアスリートも怪我をしても復活出来るっていうのは、すごい筋力や骨の強さがあるからだと思うんです。日本人は、歴史的に見ても肉とか乳製品を食べることが少ないので、遺伝的に骨格自体も細いですし、欧米人と比べたらもともとの軸となる部分がすごく華奢に出来ていると思います。また女性はホルモンの影響で加齢とともに骨密度が低くなりますし。カルシウムは乳製品、小魚、豆、緑黄色野菜などに含まれていますが、それぞれ栄養素の組み合せが違うので、いろいろな食品から毎日コツコツ摂るのが理想的ですね。

──バランスの良い食事を摂るときに、好き嫌いについてはどうお考えでしょうか?

乳製品を食べたくないという人もいます。体質的なものもあったりしますが、体が嫌がっているものは、消化吸収されにくく排泄されてしまうものなので、それはもう矯正は出来ません。極端な好き嫌いは直した方が良いと思いますが、代替出来るものがあれば、好きなものを聞いて食べ方を提案することも出 来ると思うんです。嫌いなものでも匂いが嫌だって言う人もいれば、食感が嫌だとか、嫌いという理由も一つでは無いんですよね。匂いが嫌だったら匂いを消すような調理法で教えれば良いし、食感が嫌であれば、それを刻んだりする方法もあるので、一人ひとりに合わせた栄養摂取の在り方を考えることが大切なんです。

栄養学っていうのは人それぞれ、100人いれば100通りの栄養指導の仕方があると思いますし、結果を出すためにこれが100パーセントだと言い切れるものはありません。さらに、バレエの場合は芸術なので、金メダルのような分かりやすい評価基準もありません。スポーツの分野であれば、金メダルを取った方を 支えたコーチや栄養のサポートが素晴らしかったという評価のされ方もあると思いますが、その点で評価をされることの難しさもあれば素晴らしさもあるのだと感じています。

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村田裕子さんプロフィール
経歴
1983年
日本女子大学家政学部卒業。食物学科食物学専攻。卒業後婦人画報社入社。ファッション誌、ヴァンサンカン編集部に10年間在籍。ファッション、美容、インテリア等のページの編集に携わる。

1992年
フリーの編集者としての活動開始。念願がかなって料理本の編集を手がけ始める。

1993年
料理への情熱が募り、イタリア、フランス、タイ、香港、京都で本場の料理を極めるべく料理修行を始める。

1995年
料理研究家・栄養士としての活動開始。料理教室『STUDIO IDEA』を主宰。フランチャイズのイタリアン・レストランのメニュー開発、デパートの食品売場の販促企画、パーティのケイタリングやコーディネイトなど、企業関連の仕事に携わる。

2007年
料理研究家・管理栄養士としての活動を開始。

現在
和・洋・中のジャンルを問わず、実践的なレシピをテレビ、雑誌、書籍、新聞、広報誌等で紹介するほか、食品会社および調理器具メーカーの商品開発にも携わる。また、管理栄養士として、「毎日の元気は食生活から」をモットーに、健康とおいしさを兼ね合わせたレシピ開発とともに、ダンサーやアスリートに向けてのスポーツ栄養学は、いま一番力を入れている研究テーマ。材料の数々、種類、調理法、調理時間などを工夫しながら、作りやすいレシピを考案する日々。
2013年から新国立劇場バレエ研修所にて、栄養学の講師を務める。

・ラ・シェーヌ・ドゥ・ロティスール会員
・クラブ・ルミエール会員
・レザミ・ドゥ・キュルノンスキー会員
・趣味:クラシック・バレエ、ゴルフ

くるみ割り人形

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