TOPページ > バレエをつくる人たちインタビュー > バレエダンサーへの栄養指導について
新国立劇場バレエ団研修所 栄養学講師 村田裕子さん
新国立劇場バレエ団研修所で栄養学の教鞭を取る、管理栄養士の村田裕子先生。未来のダンサー達を数多く指導する先生に、ダンサーの卵たちや大人の女性たちにも役立つ、食生活の傾向や課題をたっぷりとお伺いしました。
「より栄養学に近い観点で食事を捉えているかどうかが肝心だと思うんです」
──今年から新国立劇場で栄養学の講師をされていますね。
新国立劇場バレエ団の研修所では、将来プロを目指す若いダンサーたちに栄養学の講義と栄養指導をしています。それ以外でも、バレエを習っている子供や大人のプライベートな栄養指導をしたり、バレエ雑誌で栄養を考えたレシピを紹介したりもしています。栄養指導を行うときは個々の性格や環境に合わせたサポートをしたいと考えています。年齢もさまざまですし、環境も家族と暮らしている人もいれば、ひとり暮らしの人もいます。食生活も食習慣も食に対する意識も一人ひとり違いますから。
──ひと口にダンサーといっても、皆さん意識に差があるんですね。
プロ、アマチュアに限らす、バレエをしている人たちは、栄養とか食事への関心が非常に高いと思います。私の役割は、それぞれみなさんが何を求めているのかをエビデンスに基づいた栄養学の観点からアドバイスをすること。例えば、レッスンが密になっていて途中でお昼ご飯や夜ご飯が食べられなかったりする人には、どこかでエネルギーを補給しないと集中出来なくなってしまうので、私は「補食」を摂るように指導しています。
「補食」はおやつとは違いますので、炭水化物やタンパク質が必要になります。炭水化物、タンパク質がどんな食材に含まれているのかを知らない人たちには、まず「補食」にふさわしい食品が何かを具体的に教えてあげる。すでに「補食」を実行している人には、さらにプラスするべきビタミンやミネラルを摂取する方法を提案します。個々に合わせた指導で意識を高めていくことが、栄養指導のうえでは大切になります。単純に「野菜食べなきゃダメよ」と言ってもダメなんです。
──それぞれの個人に合わせた栄養指導はどのようにされるのでしょうか?
栄養マネジメントには基本的な流れがあって、ダンサーに限らず、メタボリックシンドロームの方々の個人サポートでも、まず食事調査を行います。だいたい一週間くらいの食事内容を書いてもらうと、いつどこで何を食べているのかが把握できます。それをもとに栄養計算ソフトに入れて、三大栄養素のバランスシートや、食べた物の品目数などの表を作って、栄養指導の方針をたてていきます。食事を写真に撮ってもらうと、より食生活が見えてきますね。
ただ、はじめから難しい栄養学の話をしてもなかなか実践には結びつきません。私は、初めは栄養のことは考えなくても良いから、とにかく1回の食事に5つの色をなるべく食べるようにしましょう、と伝えます。赤いものは別にトマトじゃなくても梅干しでもカニカマボコでも良いから、そうやって色を揃える訓練をすれば、自分でも段々うまくバランスを取れるようになるわよ、と。
バレエジャポンオススメコンテンツ

村田裕子さんプロフィール
経歴
1983年
日本女子大学家政学部卒業。食物学科食物学専攻。卒業後婦人画報社入社。ファッション誌、ヴァンサンカン編集部に10年間在籍。ファッション、美容、インテリア等のページの編集に携わる。
1992年
フリーの編集者としての活動開始。念願がかなって料理本の編集を手がけ始める。
1993年
料理への情熱が募り、イタリア、フランス、タイ、香港、京都で本場の料理を極めるべく料理修行を始める。
1995年
料理研究家・栄養士としての活動開始。料理教室『STUDIO IDEA』を主宰。フランチャイズのイタリアン・レストランのメニュー開発、デパートの食品売場の販促企画、パーティのケイタリングやコーディネイトなど、企業関連の仕事に携わる。
2007年
料理研究家・管理栄養士としての活動を開始。
現在
和・洋・中のジャンルを問わず、実践的なレシピをテレビ、雑誌、書籍、新聞、広報誌等で紹介するほか、食品会社および調理器具メーカーの商品開発にも携わる。また、管理栄養士として、「毎日の元気は食生活から」をモットーに、健康とおいしさを兼ね合わせたレシピ開発とともに、ダンサーやアスリートに向けてのスポーツ栄養学は、いま一番力を入れている研究テーマ。材料の数々、種類、調理法、調理時間などを工夫しながら、作りやすいレシピを考案する日々。
2013年から新国立劇場バレエ研修所にて、栄養学の講師を務める。
・ラ・シェーヌ・ドゥ・ロティスール会員
・クラブ・ルミエール会員
・レザミ・ドゥ・キュルノンスキー会員
・趣味:クラシック・バレエ、ゴルフ