TOPページ > バレエをつくる人たちインタビュー > クラシックバレエとコンテンポラリーダンスそれぞれの身体の使い方

バレエをつくる人たち

新国立劇場バレエ団トレーナー 安田善彦さん

新国立劇場バレエ団のトレーナーとして、公演の舞台裏を支え、未来の有望なダンサー達を育成する同バレエ団の研修所にて、第一期から講師を務める安田善彦先生。海外や日本におけるプロのダンサー達の身体のお話をたっぷりと伺いました。

安田善彦さん

──クラシックバレエとコンテンポラリーだと体の使い方が違いますね。

使い方が全く違うので、痛める場所も変わってきますね。クラシックのダンサーがコンテンポラリーを踊る時は、やっぱり痛みやすいですね。逆もそうだと思います。コンテンポラリーが公演で続くと、クラシックに戻る時に大変なんです。おかしな表現かもしれませんが、筋肉が思い出すまでにちょっと時間がかかるんですね。それで筋肉痛が起きたりして、治らないままクラシックに入ったりすると、ますます痛みが強くなる。

──演目によっては同じ日にコンテンポラリーとクラシックを同時に踊るようなこともありますね。

非常に切り替えが難しいですね。クラシックは独特の型がある動きだから。

例えば、クラシックのダンサーは首がすごく弱いんです。クラシックには、首を鍛えるレッスンは少ないですからね。『ドン・キホーテ』にも、夢の場面で女性が体を反ってずっと何分も止まったままの場面がありますが、あれでみんな首を痛めるんです。カツラを付けただけでも首や肩の痛みを訴えたりする人もいます。だから、僕はヘルメットをかぶってレッスンすれば良いと冗談で言っています(笑)。

一首のクセというのは、つきやすいものなんでしょうか。

ええ。首は日常生活で悪くしますので。首の頚椎っていうのは7つあるんですけど、その上の方の1番目と2番目が動きやすいんですね。これが動くと、それ以下の全てに影響があります。これは一般人でも、それが原因で腰が悪くなったり、股関節にきたり、いろんなところが悪くなるんですね。今はまだあまり話題になっていませんが、「上部頚椎の歪み」は将来話題になるところだと思います。

クラシックの人は、特に体を引き上げるように言われるので、首も引き上げますよね。本来カーブがある部分が、割と真っ直ぐになってストレートネックになってしまう。だから治療のときは首の調整は必ずやりますね。首と骨盤は常に見るようにしています。

一体の軸の要になるところですね。

そこが狂ってしまうと、踊りまで狂ってきます。この間、『ドン・キホーテ』で新国立劇場のプリンシパルが踊った時に全くぶれないで、ぎゅーっとコマのように36回転しました。普通はフェッテしながら段々ぶれて移動してしまうんですけど、軸がぶれないのでその場で微動だにしない。少しでも狂いがあればすぐに調整しないとぶれてしまうものですが、それだけに、彼女達も仙骨などの狂いを非常に気にします。また、その前にやはり上部頚椎に歪みがあると影響されますね。

体の一部がずれていると、カバーしようとして他の部分に負担がかかるので、ちょっとセンターが狂うだけでも、長年やっていると少しずつどこかにしわ寄せがきてしまいます。

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安田善彦さんプロフィール
経歴
福岡県生まれ。1981年ごろより、来日バレエ団のトレーナーとして活動。ルドルフ・ヌレエフ、ミハイル・バリシニコフ、パトリック・デュポン、ジョルジュ・ドン、シルヴィ・ギエムなど多くのダンサーに関わる。アレッサンドラ・フェリの引退公演にもトレーナーとして参加した。新国立劇場開場時よりトレーナーとしてバレエ団に参加し、バレエ団の海外公演(ワシントンD.C.のケネディ劇場、モスクワのボリショイ劇場等)にも同行し、バレエ団員やゲストダンサーの調整をする。

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