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新国立劇場バレエ団トレーナー 安田善彦さん
バレエダンサーのための治療家になったきっかけ

新国立劇場バレエ団のトレーナーとして、公演の舞台裏を支え、未来の有望なダンサー達を育成する同バレエ団の研修所にて、第一期から講師を務める安田善彦先生。海外や日本におけるプロのダンサー達の身体のお話をたっぷりと伺いました。
ーーバレエダンサーの治療に関わるようになったきっかけは?
もともとは、日舞の家元とそのお弟子さんをたくさん治療していたので、日舞の世界で食っていけるかなと思っていたんです(笑)。その後、様々なご縁があって、海外のバレエ団が来る時に出張したりして、ダンサーの治療をするようになりました。もう何十年も前のことです。今でも家元には大変感謝しています。
──バレエダンサーの怪我には、どんな特徴があると思われますか?
怪我は捻挫が一番多いですね。本番中やリハーサル中は、ダンサー達もものすごく緊張しているせいか、滅多に怪我は出ないんですが、自習(自主的なレッスン)をしている時のほうが怪我が多いと感じます。
自習の時は、バレエ団に拘束されずに各自作品をつくることが出来るものですから、決まった動きでないものが増えるのも怪我の要因のひとつだと思います。リハーサルの時は決まった振りがあって、頭の中にもしっかりとイメージがありますから、そういう点では怪我は少ないように感じますね。
ダンサーが怪我をしてしまった時には、直ちにストップをかけます。昔は、怪我でも頑張って踊ってしまっていたんです。怪我をして「アッ」と思いながらも、その時は「痛くない痛くない」と頑張ってしまって、後になってひどい思いすることが多かったですね。だから、ここ(新国立劇場バレエ団)では絶対にすぐストップさせます。例えば公演が1週間後にある時なんかは「今日怪我をしてしまったけど、次はこの日に…」と考えてすぐにやめれば間に合う可能性が多いんです。
一怪我の仕方では捻挫が多いということでしたが、怪我が多い部位はどこだと思われますか。
そうですね。怪我の部位でいうと、足首が一番多いんじゃないでしょうか。次が膝で、それから腰が多いですね。怪我を1回すると慢性化しやすいので、どこかしらに痛みを持っている方は多いと思います。怪我をしたところが段々悪くなってきて、例えばそれがジャンプなら飛べなくなってきたりして、それで引退に至るケースもあります。
- 1:バレエダンサーのための治療家になったきっかけ
- 2:クラシックバレエとコンテンポラリーダンスそれぞれの身体の使い方
- 3:怪我予防のためのケア方法
- 4:西洋医学と東洋医学のバランス
- 5:食生活を通したケア方法
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安田善彦さんプロフィール
経歴
福岡県生まれ。1981年ごろより、来日バレエ団のトレーナーとして活動。ルドルフ・ヌレエフ、ミハイル・バリシニコフ、パトリック・デュポン、ジョルジュ・ドン、シルヴィ・ギエムなど多くのダンサーに関わる。アレッサンドラ・フェリの引退公演にもトレーナーとして参加した。新国立劇場開場時よりトレーナーとしてバレエ団に参加し、バレエ団の海外公演(ワシントンD.C.のケネディ劇場、モスクワのボリショイ劇場等)にも同行し、バレエ団員やゲストダンサーの調整をする。