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ウィーン国立歌劇場バレエ団専属ピアニスト 滝澤志野さん
ピアニストとして日本での経験を詰み、2011年9月、ウィーン国立歌劇場バレエ団の専属ピアニストとして活動の場を海外に移した滝澤志野さん。バレエピアニストとしてご経験された日本と海外の違い、気になるダンサー達との交流やピアノにかける想いを皮切りに、ピアニストのお仕事についてたっぷりと伺いました。
ウィーン国立歌劇場バレエ団の専属ピアニストとして活躍する滝澤志野さん
ーーウィーンでの一日のお仕事の流れは?
朝10時からクラスレッスンが始まります。クラスレッスンで弾くのは週の半分くらい。それが1時間15分。レッスン後は15分休憩してからリハーサルが始まります。シーズン中は結構公演が立て込むので、みんなフル稼働。3公演分くらいの作品の稽古を同時進行で毎日やっているんです。
ウィーンはレパートリー制といって、毎日演目が変わる劇場なんです。ヨーロッパでも最近珍しいようですが、毎日違う演目を上演していて、バレエも一週間の間に異なる3つの演目が上演されたりするんです。
──リハーサルは何時間くらいするんですか?
11時半頃からはじまり、14時過ぎに40分間のお昼休みを挟んで、17時半まで全部リハーサルの時間です。たまに夜19時くらいまでになることもありますが、その後は自由です。公演がある日は、その前にクラスレッスンをしてから公演を。私もピアノが必要なときはオーケストラピットの中に入ります。
──日本でお仕事をされていた時との違いは?
日本の場合は、劇場専属という形では無かったので、劇場で週2,3回弾きつつ、他のバレエ団やお教室を7カ所ほど掛け持ちして、それぞれ週1~2回弾くという毎日。その他にも声楽の伴奏やピアノソロなどの仕事があったり、ツアーに付いて行ったり。日本のバレエピアニストでは、そういうスタイルでやっている人がほとんどだと思います。ウィーンの場合は完全に劇場専属として雇われるので、ほぼ毎日、週5~6日は劇場にいます。日本では移動が多かったので、そういった大変さはありましたが、ウィーンではもう劇場に行ってしまえば一日そこで過ごすので、環境は落ち着いていますね。
ウィーン国立歌劇場の外観。日夜それぞれにその美しい表情を変える
──ピアニストから見て、日本とウィーンのダンサーに違いを感じますか?
一番大きな違いは、ヨーロッパのダンサーは表現力が豊かで大きい。立ってるだけで説得力があるっていうか、特にロシアの方とかはそうですね。
反対に、日本のダンサーの良いところはとても誠実で正確なところ。日本人は、とてもしっかりしてますね。振り覚えが早く、音を捉えるのも上手、テクニックも優れている。体型維持にしてもそうだし、最近の若い人は海外に出ても遜色ないスタイルをしていると思います。
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滝澤志野さんプロフィール
経歴
桐朋学園大学短大部ピアノ科卒業、専攻科終了。
堺ピアノコンクール金賞受賞。第一回21世紀ピアノコンクール第一位受賞。
ピティナピアノコンペティション全国大会入賞。
オペラ・バレエの伴奏に携わり、国内外の歌手、ダンサーとステージを共にする他、 多くのアーティストと共演。
新国立劇場バレエ団ピアニストを経て、2011年9月よりウィーン国立歌劇場バレエ団の専属ピアニストとして活躍中。