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バレエのためのカラダづくり

バレエとアレクサンダー・テクニーク 〜入門編〜

バレエとアレクサンダー・テクニーク 〜入門編〜

自由に踊るために骨を意識して動く

アレクサンダー・テクニークは、「頭と脊椎」に着目しながら心身に起きる不要な緊張をやめることを学ぶメソッドです。バレエを踊るときはもちろん、エクササイズやトレーニングを行なう時、日常の生活でもさまざまな場面で使うことができます。

図解01

身体の動きを邪魔する「余分な緊張」

「身体が思うように動かない」「テクニックがなかなか上達しない」こういうとき、普通は「もっと練習しないと」「弱い部分を鍛えないと」と思いがちです。しかし、アレクサンダー・テクニークでは、こう考えます。

「やりたいことを邪魔している余分な緊張がある、それをやめてみよう」

無意識に習慣でやってしまう緊張をやめれば、身体本来のシステムが働きスムーズに動けるようになる・・・足し算ではなく引き算の考え方です。

「緊張」が筋肉が縮ませ、動きの邪魔をする

「勝手に身体に力が入ってしまう・・・」

よくありますね。筋肉が収縮することで身体は動くのですが、なにかを「やろう」とする気持ちが、必要以上の力になったり、いらない場所にも働いてしまったりするのです。

筋肉が必要以上に縮むと、関節にはスペースがなくなり動きにくくなります。「緩めよう」としても筋肉は縮むことしかできないので、意識した途端「スタンバイOK」と収縮を始めます。「力を抜くのは難しい」と感じるのはこのためです。

アレクサンダー・テクニークでは、直接筋肉に働きかけるのではなく、「骨と関節」「動き」に意識を向けることで、筋肉が働き過ぎることを抑えます。

頭が動けば身体全体が動く

アレクサンダー・テクニークが特に注目しているのは“頭と脊椎”の関係性です。頭は脊椎の上でバランスを取りながら動き、約5kgの重さは脊椎が支えて、骨盤〜股関節〜膝〜足首へと下りています。重さを支えようと筋肉が頑張ると首が緊張します。首の後ろの筋肉が緊張して首が短くなると、頭は動けなくなります。

歩きながら頭を後ろに引いて首の後ろを縮めたら、歩き方はどう変わるでしょう。首(頚椎)だけでなく脊椎全体が下方向に押し潰されて短くなり、身体全体に影響が及びます。首が楽で長ければ、頭は脊椎の上でバランスをとりながら動くことができて、脊椎全体・身体全体が自由になります。それが身体のシステムなのです。

緊張をやめるために
その1~構造<骨と関節>を知る~

ダンサーが余分な緊張を引き起こす要因の1つに、身体に対する自分のイメージと実際の身体構造とのミスマッチや、身体の誤用があります。身体を構成するのは「骨」(骨がなければ人間は肉のかたまりです!)。でも、多くの人が骨や関節についてよく知りません。想像で動かしているので、動かない場所を動かそうとしたり、動く場所を止めてしまい、無理をすることになります。

「骨と関節」の構造を知ることは、パフォーマンスの向上、ケガや故障の予防・改善につながります。
例えば、腕は肩からしか動かないと思っていませんか。それは“人形の腕”です。腕の付け根は鎖骨の内端、ここしか腕が軸骨格とつながる関節はないのです。鎖骨も腕の一部として動かせば、肩からしか使っていなかった腕は15cmくらい長くなり、自由度もアップしますね。

その2~動くプロセスを具体的にする~

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上手く動けない時、結果を求めるあまり、身体の動きのプロセスを無視してしまうことがあります。プロセス(どこがどう動くか)を具体的にしてから動くと、混乱による緊張も減り、テクニック上達に役立ちます。例えば、「ルルヴェで後ろに倒れてしまう」ことを考えてみましょう。

ルルヴェの時、どんな動きが必要でしょうか。「重心を前に移しながらかかとを上げ、必要なだけ指を甲側に曲げる」、やることはこれだけです。とてもシンプルですね。にもかかわらず、「上げる」と思っただけで無意識にアゴや胸を上げてしまうので、後ろに倒れてしまうのです。これをやめるには、頭が脊椎の上で動けるような“楽に立っているだけ”の状態から始めることがポイントとなります。

心と身体の緊張は表裏一体

失敗への不安、上手くやろうとする気負い、自分へのダメ出しなど心の緊張はどうでしょうか。実は、心が固まると身体も固まります。身体が固まると心はもっと固まります。心と身体は一体なのです。逆に言うと、身体の緊張をやめることで心の緊張をやめることも可能です。心が緊張したとき、まず反応するのが首の後ろ側。そう、ここでもやっぱり「頭と脊椎」が大切なのです! 舞台の本番前の緊張なども、身体からアプローチすることができます。

10代は身体が大きく変化する時期です。腕や脚が長くなり、ゆるかった関節が大人と同じように完成します。筋肉や脂肪が増えて重くなる身体に戸惑うこともあるでしょう。でも、骨の長さは変わっても基本構造は変わりません。筋肉や脂肪が増えても軸はちゃんと真ん中にあります。大人になっても毎日身体の感覚は違うものです。大切なのは、「今の自分」の身体と向き合い、受け入れること。あなたの身体はあなた自身です。

白井幸子 プロフィール
Body Chance認定 ボディシンキングコーチ、アレクサンダー・テクニーク教師。
大人からダンスを始め、ジャズダンスを中心にバレエ、ヒップホップなどを学ぶ。フィットネスにも通じており、プロデューサーとして日本で初めてピラティスの映像を商品化。その後数々のヨガやピラティスDVDを制作した。腰・首・膝など自身の故障経験から“身体の使い方”に関心をもち、2007年アレクサンダー・テクニークに出会う。
現在は“ダンサーのためのヘルスケア”をライフワークに掲げ、AT Dance(アットダンス)を運営。レッスンやワークショップを開催している。

★体験レッスン 随時受付中
※詳しくはHPをご覧ください。
 「AT Dance 踊るカラダのコツを知る」http://atdancebody.jimdo.com/

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アレクサンダー・テクニークとは
何かをやろうとするときにそれを邪魔する、無意識でやってしまう緊張や習慣的な反応に気づいてやめることを学ぶ、自分を意識的に使うためのメソッド。オーストラリアの俳優F.M.アレクサンダーが発見した。

頭と脊椎の関係に着目し、首の緊張から起きる“頭の押し下げ”をやめることで本来の能力が発揮できると言われる。海外では著名な俳優や音楽家、パフォーマーが取り入れており、多くの芸術系の学校でカリキュラムに採用されている。

慢性的な腰痛の改善効果などは医学的にも認められており、治療ではないが保険対象としている国もある。

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