TOPページ > インタビュー > バレエユニオンに参加される方々へのメッセージ

オールジャパンバレエユニオン常任理事・高瀬 元子さん
日本のクラシックバレエコンクールの中で最大級の参加数である「オール ジャパン バレエ ユニオン」。
2012年のローザンヌ国際バレエコンクールで優勝した菅井円加さん、バレエジャポンインタビューでも掲載の阿部夏香さん、左右木茉琳さん、荒井沙也夏さんなど、本コンクールで入賞された多くの方々が、国内海外問わず活躍されています。
今回のインタビューは、主催・バレエユニオン常任理事である高瀬元子先生。
「コンクールへの想い」、「今後のコンクール」のほか、「バレエに対する姿勢がとっても大事」と話す高瀬先生──。これから出場を考えている方に、とっても参考になるメッセージもいただきました。
──バレエジャポンでもバレエユニオンで入賞された方々に、たくさんのインタビューを行わせていただいていますが「審査の採点方法」が他のコンクールに比べて特徴的というお話をお聞きします
そうですね。たとえば、舞台でちょっとバランスを崩してしまった・・、転んでしまった・・。
などでも、上位に入賞される方々はたくさんいらっしゃいます。
バレエユニオンの審査で特徴的なのは、審査員の方々が、現役のダンサーという点ですね。
先生の方々は皆さん昔からコンクールに出場していて、現在は子供にレッスンをして、自らも演技をする先生方たち。
もちろん審査は趣味や、好みが入っていはいけません。審査の先生方は、評論家ではないですからね。
もしそうであれば、点数が振れてしまうと思います。
評価は「偏差値」を採用していて、参加される皆様のための公平性を常に気を付け、点数のTOPとボトムラインはカットした中間の方々の平均偏差値で出しています。
バレエユニオンでの審査や採点は、極端に言うと「今失敗しても次の時まで頑張れる力があるか」というひとりひとりの将来性まで見た点数の付け方なんです。

昨年(2014年)の受賞式の様子
──これからバレエユニオンに参加される方々へのメッセージはありますか?
バレエユニオンコンクールでは、常に公平な目で「演じている方の将来性」、「これからもバレエを続けられる力」を見て判断しています。
発表会ではありませんので「世界に羽ばたけるかどうか」や「将来のことを思って今頑張っている方々」を評価したいと思っています。
また、出場される方々に感じていただきたいのは、お教室の先生方の想い、そしてお母さま、お父さまの想いですね。
よく海外のコンクールを知っている方々が、コンクール会場を見て「なんで日本では、コンクールではこんなに素敵な衣裳を着られるの?」「こんな衣裳プリンシパルでしか着れないわ・・」と驚かれます(笑)。
例えばですが、わずか「1分」だけの演目のために遠くから飛行機に乗って、ホテルに宿泊して、先生にもお礼をして、衣裳代を払って・・・当日コンクールに出場されている方々も毎年たくさんいらっしゃいます。お金も労力も、とっても掛かっています。
運営側としては、そういったみんなの想いを、背中に背負って来てくれている方々をしっかりと見て審査する。
そして出場される方には、最初はうまくいかないかもしれないけど「シミュレーションバレエ」などで経験して、力んでしまう気持ちも軽減ができて、本番の力もつけて!「よし、コンクールもでてみよう!」などステップアップのためにうまく、この「シミュレーション」も活用していただきたいと思っています。
またたとえ本番でミスをしたとしても、突発的なことかもしれないし、緊張もあって筋肉も硬くなってしまったもしれません。
でもその子の「バレエに対する姿勢」を見て、「誠心誠意バレエに向かっているか」、「今の段階だけでなくて将来を見据えているか」を、その子の中に先生方が見ているから点数がつきます。そして「上手くできなかったとしても次はこうしよう!」と精進して頑張れた子が、必ず次の年に上位に来ています!
またしっかりと自分のコンディションを日々整えておくのも大切だと思います。バランスの良い食事やカルシウムもしっかりと摂ってほしいですね。
最後に、自分ひとりでは無くて、先生やお母さま、お父さま、応援してくれている方々と一緒に頑張っていることを常に忘れないで欲しいと思っています。
- 1
- 2
- 1:バレエユニオンコンクール発足のきっかけ
- 2:バレエユニオンに参加される方々へのメッセージ
バレエジャポンオススメコンテンツ

高瀬 元子さんプロフィール
10代の頃よりモダンダンス、フラメンコ、ジャズダンス、クラシックバレエを学び、石川須妹子、庄司 裕、河上鈴子、ジュン・キョウヤ、人間組曲大倉などのリサイタルやパフォーマンスに数多く出演。20代にはニューヨークへバレエ研修に行きジョフリーバレエ団、マーサカニングハム、アルビンエイリー、ルイジスタジオなどで研修を積み、1975年に埼玉県所沢市にてスタジオを開設。生徒の指導と並行して活動。又、その後は余 芳美の教師クラス第9期を卒業、ロシアバレエインスティチュートでボリショイバレエの教授法を学ぶ。娘の雅美さんはボリショイバレエ学校のイリーナ・スイロワ女史に学び、カナダトロントのバレエヨーガンへ入団、現在もトロント在住。他出身者には元宝塚月組真山葉瑠、川口ゆり子シャンプルウエストバレエ団東松由香里、フランスパリコンセルバトワールピアノ教師宮本志津子、元劇団四季工藤朱里、タレントで女優のさとうやすえなど数多く輩出。
2000年オールジャパンバレエユニオン常任理事に就任。
2013年 第7回舞踊文化功労賞 受賞。