8月も終わり、バレエダンサーを目指す子どもたちがたくさん海外の留学先へ、そしてカンパニーへと向かいます(すでに多くが旅立っていきました)。
Miracle Body(ミラクルボディ)は、身体作りや身体の使い方、怪我の予防のためのコンディショニングを学ぶ場所です。より良く踊るための身体の使い方は、怪我を予防し、5年後、10年後も舞台で活躍出来る身体を作ります。
私たちはお教室という枠に捉われないことで、プロアマ、大人子どもを問わずたくさんのダンサーの身体作りに関わり、know-howを蓄積してきました。
子どもたちがこちらに来るきっかけは、もちろん怪我の治療であったり、コンクールで結果が出ないこと、身体作りやその使い方への行き詰まりであったりするわけです。
身体の問題を解決すること、これにはある程度の方程式は存在するのですが、解決への道筋はそれぞれです。また精神的なこと、メンタルの部分との関わりも非常に大きく、ひとりひとり、ひとつひとつの問題に向き合うことでしか解決していかないわけです。
すぐに解決する問題ももちろんあります。ですが大抵のことは時間が掛かるものです。芸術とは時間を掛けて苦労して作り出すもので、それに対して人は感動するものだと私は考えます。だからこそ簡単には色褪せないのだとも。
大事なのは、問題解決の方法を提供するだけにとどまらず、その問題と自分自身が継続して向き合える環境を準備すること。
そ れは例えば、家で自習を行う効果的な方法やタイミング、そして得るべき感覚についてであったり、今の指導者の指導方法、言葉はどういう意味を持つのかとい う解説(翻訳)であったりします。思春期の子どもたちに対して、親御さんが干渉し過ぎるとやる気を失う、駄目になってしまうケースも多く存在します。親御 さんに対する言葉掛け、説明も非常に大事だと考えています。スタジオと家庭の両方でより身体と向き合える環境を準備すること。
人はたくさんの情報に惑わされます。それを精査することが出来れば、より効率的に変化をもたらすことが出来ます。
それが出来れば私たちの仕事の8割方は終了です。あとは自分の言葉として理解し、継続して、いつものレッスンを行ってもらうだけです。レッスンこそが最適なトレーニングなのは言うまでもありません。自分と向き合うことが出来れば、必ず変化していきます。
今夏は今まで以上に、Miracle Body(ミラクルボディ)が関わってきた子どもたちが世界各国へと向かいます。8月は、渡航前のはなむけに、長い深い付き合いの子どもたちとは一緒に食事をさせていただいたりして、他愛もない会話を楽しみました。
私にとっても大切な子どもたち...その中の一人、益田隼君。モナコへ留学です。

これはほんの2年前の写真。
身長はすでに抜かされてしまいました。小学生の頃から見させていただいて、失礼ながら才能と感覚(本能)だけで今まで踊ってきているように私は感じていました。
そんな彼が本当の意味で自分と向き合いだしたなと感じたのは、つい1年くらい前でしょうか?
昨年のYAGP日本予選の決選の前の日に、彼は私の前で自分に自信がないと言って涙を見せました。他の人と自分を比べることで、初めて自分と向き合い、それを乗り越えての今です。
今回、ヴァルナ国際バレエコンクールでの出来事を話してくれました。緑の壁で有名なヴァルナの野外劇場が、思っていたよりも何もない普通の舞台であったと...蛾や虫が多かったと...(笑)。

観客側からの舞台の見え方と出演者の舞台上のイメージは確かに全然違うので正直な意見だと思って聞いていました。
背景以外(もしくは舞台装置があったとしても)ほぼ何にもない舞台をどう観客に見せ(魅せ)るか?それは舞台を作るすべての人間にとってもっともこだわらなければならないところ。
照明や踊りの魅せ方の話等をしながら、ダンサーとしての視点だけでなく、演出家、振付家として視点も加わり始めた彼の話に、随分成長したなと感慨深いものがありました。
身体に関する知識や見方、修正の仕方は正直まだまだこれから。言い換えれば彼にも伸びしろはもっとあります。
目に見える身体の使い方だけでなく、目に見えない部分の身体の使い方へのこだわり。それは例えば「引き上げ」、例えば「エネルギーの出し方、伝え方」であったりします。それが間違いなく「表現」へとつながるはずだと私は考え、子どもたちを指導しています。
男の子は特に、才能や感覚だけで今までほとんどやって来て、成長期が過ぎて、いざプロになろうとする時、なってからも、また壁にぶつかります。人は、貪欲に、どんどん上へ上へと目指していく段階で、自分の限界を超えようと無理しようとするものです。
その時が怪我をするタイミング。
ちょっとした足首の異変や膝の使い方に気付き、注意、改善することが大事になってきます。
そんな話をしながら今回彼を送り出しました。
隼君だけでなく、今夏はたくさんの子どもたちを見送りました。それが彼ら彼女たちにとって約束されたタイミングだったのだと思います。成長していく子どもたちの大切な節目に、立ち会えてとても幸せでしたし、自分の役割を感じさせてもらえる夏となりました。
皆に感謝です。有り難うございます。
本格的にパフォーマンスのプロフェッショナルを志す、すべての方へ
Miracle Body(ミラクルボディ)はスポーツ障害専門の治療院です。
また障害再発予防のリハビリ、正しい身体の使い方やパフォーマンス向上の為のトレーニング指導にも力を入れ、専門性を追求したダンサー向け、ランナー向けメニューを設けています。
Miracle Body
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