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指導者インタビュー

左右木健一・くみバレエスクール主宰 左右木健一さん

左右木健一

ダンサーとして国内外の舞台でキャリアを重ねていた左右木健一さんが、奥様のくみさんとともに仙台市内に教室をオープンさせたのは1997年のこと。開校以来、指導者としてさまざまなコンクールに参加、近年は審査員も務める機会も多く、 2012年にはブルガリアの歴史あるコンクール、ヴァルナ国際バレエコンクールで審査員を務められました。さまざまな立場でバレエに尽力されてきた左右木さんに、さまざまな視点からお話をうかがいました。

──教室のオープン当初はまだダンサーとして活躍されていたそうですが、どのような教室を目指して始められたのでしょうか。

バレエに興味を持っていらっしゃる方なら、どなたでも受け入れて指導したいと思っていました。とくに子どもたちの指導では、将来、バレエを離れたあとでも立派な社会人として世に出ていける、そのための情操教育を含めて考えています。基本的なマナーや、目上の人に対する礼儀、気配り。それらは、バレエを通じて、自然に学ベることだと思いますし、それはどんな道に進んでも活きるはずです。私自身、バレエに救われたことがたくさんありましたから、子どもたちにも何らかの形で、バレエの素晴らしさを伝えていきたいとも思っていました。

左右木健一
ヴァルナ国際バレエコンクールで審査員を務める左右木健一さん

──コンクールに参加している生徒さんも多いですね。

開校当初から要望が多かったんです。ただし、コンクールの結果だけにこだわるのであれば参加しないでください、と言っています。他人と比べたり、結果だけにこだわることは望んでいません。大切なのは自分自身、同時に、先生とのコミュニケーションです。逆に、自分だけで、自分ひとりで頑張る必要もないと考えています。さらに、自分のことは全部自分ひとりで出来るように、と言うんですね。バレエのテクニックのことではありません。一人で起きて、自分で身支度をする。母親に頼らないで出来るように、ということを、小学校4年生くらいから教えています。

──最近はコンクールの審査員を務められています。審査員を経験されたことで、新たに見えてきたこともあるのではないでしょうか。

いろいろとありますが、子どもたちのなかから自然に出てきたものに触れることができると、本当に嬉しいものです。もちろん先生のアドバイスは聞くべきですが、自分が本当は何を表現したいのか、どう表現したいのか、これが大切だと思うんです。ですから、自分がいちばん何を望んで、何を表現したいのかをキャッチするために、稽古場以外の生活でも常にアンテナを張っていてもらえたらな、と思いますね。

──本を読んだり、音楽を聴くことも大切ですね。

そうなんです。とくに音楽は大事、何がなくても音楽だけは、とも思っています。なぜなら、身体が歌っていない人がとても多いから……。日本人はしっかり踊っているのに身体が歌っていない、と指摘された海外の先生もいらっしゃいます。耳に優しい、いい音楽を生活の中でも常に取り入れてもらいたいですね。

左右木健一
「耳に優しい、いい音楽を生活の中でも常に取り入れてもらいたいですね」

──生徒の体調管理についても、気を遣われるのではないでしょうか。

体調管理については、質問があれば指導するようにしています。この生徒は身体が冷えているな、それで下半身が重たくなっているな、と感じたときなどは、身体を温めるような食べ物──ショウガをすって使うことをすすめたり、お風呂で身体を温めたり、カイロをお腹や背中にあてたり、ということをアドバイスしています。女の子は冷えが太る原因になることも多いので、そこは気をつけたいですね。

あとは摂取カロリーの問題もありますが、栄養のバランスをとりつつ、低カロリーでお腹も満たされるというもの、があるといいですね。その点、「バレエジュレ」は美味しくて栄養バランスもいいので素晴らしいですね。

──成長期の子どもたちだからこそ、注意されていることも?

オーバーワークにならないように、といつも心がけています。成長期の睡眠時間はとても大切。学校の宿題、勉強もありますから、夜10時以降はレッスンしないようにしています。十分に睡眠がとれないことで、身長が伸びない、痩せづらくなることも。将来、海外のカンパニーで踊りたいのなら、ある程度の身長が必要。私たちが夜遅くまでレッスンすることでその可能性を奪うわけにはいかないので、苦しい決断ではあるけれど、いつも“もっと練習してもいいのにな”というくらいのところで終わりにします。学校の勉強との両立については、日曜日や祝日を有効に使えば、乗り越えていける問題ではないでしょうか。

──コンクールに挑戦するときの心構えとして考えておくべきことはありますか?

コンクールでいい結果が出せなかったらダメ、ではないということ。コンクールという機会を上手に利用して、これまで取り組んできたことを見せる、と捉えてもらいたいんです。“1位になってすごいね”、ではなく、たとえ予選で落ちても、“あの子のあのときのオーロラ姫が忘れられない”、と30年経っても言われるようになってほしい。そう言われることこそが、本当の意味のアーティストだと思うんです。さらに、感謝の気持ちを大切にしてもらいたい。とくに主役を踊りたいと思うのであれば、スタッフや劇場の方にも、“ありがとうございます”と声をかけられる人を育てたいと思っています。

左右木健一
2012年、12年振りにダンサーとして舞台に復帰した左右木健一さん。

──将来、どんなふうにバレエと関わっていくのか、ということも考えておきたいことですね。

踊ることだけがバレエではないですからね。衣裳や舞台装置、照明に興味を持ったり、通訳をやりたいという子もいるので、それはサポートしてあげたい。私たちの教室でも、プロを目指すことなく、大学に進学したり就職したり、それでも踊りたくて、このお稽古場で踊らせてください、と戻ってくる人もいて、何人かは私たちの公演に出演しています。週に3日も4日もレッスンしなきゃだめとか、そんな規制はしません。“何でもいいよ”と受け入れれば、ふらっと戻ってきてくれるんです!

実は私も、昨年(2012年)、12年振りにダンサーとして舞台に復帰したんです! 東日本大震災のこともあって、周りの方々への感謝の気持ちもこめて、決断したことです。ただし、自分のペースで、機会を選びながら踊っています。この機会にダイエットして痩せたんですよ(笑)。早くに現役を引退して指導者になって、審査員を経験して、ダンサーに復帰……と、そのおかげでいろんな角度からものを見ることができるようになったかな、とも思います。

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左右木健一さんプロフィール
3歳より根本美香、ダニエル・レヴァンス、セルジュ・ステファンスキー、ロイ・トヴァイアス、ピーター・ブロイヤー、デイヴィット・ハワードなどに師事。

経歴
1986年、ユニバーサル・バレエ団に最年少16歳でオーディションに合格、イヴリン・ハート、パトリック・ビッセル、ジャン・シャルル・ジルなどと共に日本・韓国・台湾公演に出演。高校卒業後正式に同バレエ団に入団。
1990年、香港バレエ団にソリストとして移籍。1991年よりオーストリア・ザルツブルク州立劇場バレエ団にソリストとして入団、オーストリア・ドイツ・スイス・フランス・イタリア・スペイン等ヨーロッパ各地で踊る。1996年帰国、1997年より新国立劇場バレエ団にソリストとして契約、同年11月1日、仙台市に左右木健一・くみバレエスクールを開校。2000年より本拠地を仙台に移し、後進の指導、および創作活動に専念する。
2007年(社)日本バレエ協会第18回全日本バレエコンクールにおいて、アンシェヌマン・ジュニア/シニア男子の振付を担当する。
2010/11年(社)日本バレエ協会九州北支部バレエコンクールの審査員、及びアンシェヌマン女子/男子の振付を担当する。
2012年 薄井憲二氏の推薦により、ブルガリア・ヴァルナ国際バレエコンクールの日本人審査員に選出される。
2013年 香港アジアングランプリのサマーインテンシブ講師に任命される。

・左右木健一・くみバレエスクール主宰 
・(公社)日本バレエ協会東北支部 副支部長
・第16回 ブルガリア・ヴァルナ国際バレエコンクール シニアの部 組織委員会賞
・第6回 パリ国際ダンスコンクール クラシックシニア部門 入賞
・第60回 東京新聞主催全国舞踊コンクール 優秀指導者賞
・第2回・第4回 ジャパングランプリ 指導者賞
・第1回 横須賀国際バレエコンクール 優秀指導者賞
・第10回・第11回・第12回オールジャパンバレエユニオン 指導者賞

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